「この国で休むって大事件」 休みづらい日本で…選んだ1年間の休養が「正解だった」と言える理由――バスケ・馬瓜エブリン「女性アスリートと多様性」
自分の意思と選択で貫く信念「why not?(なぜ、やらないの?)」
話を聞いていて、印象的なことはエブリンの選択の意思の在りかだ。
現役選手でありながら休養を選択すること、社長としてビジネスの世界で勝負すること。決して“普通”ではない。人と違っても、自分の信念に基づき、自分を導いている。その選択と行動の源泉はどこにあるのか。
「もともと興味・関心がいろんなところにある性格で。逆にバスケここまで続けているのが不思議なくらいですが、『why not?(なぜ、やらないの?)』が座右の銘にある。もし、やっちゃいけない理由がないんだったら、興味あることはいろんなことをやってみようという考えに自分は支えられています」
こうしてオンリーワンの道を歩んでいるが、28年の人生を振り返ると、エブリンも“他人と違うこと”に悩んだ過去があった。
幼少期。
ガーナ出身の両親のもとに生まれた。なんで、私はみんなと肌の色が違うの。髪の質が違うの。そう悩むエブリンを救った言葉。
母のものだった。
(後編へ続く)
■馬瓜 エブリン / Evelyn Mawuli
1995年6月2日生まれ。愛知・豊橋市出身。ガーナ出身の両親を持ち、小学4年生からバスケットボールを始める。14歳の時に本代表として国際大会に出場するため、家族で日本国籍を取得。名門・桜花学園(愛知)では高校3冠を達成した。卒業後の2014年にWリーグのアイシン・エィ・ダブリュ ウィングス(アイシン ウィングス)に入団し、日本代表に選出される。2017年にトヨタ自動車アンテロープスに移籍し、20-21年シーズンから連覇を達成。東京五輪では銀メダルを獲得した。1年間の休養を経て、2023年からデンソーアイリスに在籍。妹のステファニーも日本代表。身長180センチ、ポジションはパワーフォワード。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)