女子アスリートと「結婚・妊娠」問題 横峯さくらが描く「=引退」じゃない支援の形
「引退を考えなくてもいいんだ、女性としての幸せもゴルファーとしてのキャリアも両立できるんだ」
横峯が思い描いていた「結婚、妊娠=引退」という図式を根底から覆したのが、2015年から本格参戦した米LPGAツアーで見た光景だった。ツアー会場にはLPGAが運営する託児所があり、ママさんゴルファーは朝、子供を託児所に預け、そのまま試合に参加。その日のラウンドが終わった後、子供を託児所に迎えに行き、夕食は家族でとる。子育てとゴルフが両立できる環境があることに「衝撃を受けました」と振り返る。
「あ、引退を考えなくてもいいんだ、女性としての幸せもゴルファーとしてのキャリアも両立できるんだって、この衝撃は大きかったですね。日本の女子ツアーには、こういった女性を支援するシステムがまだなくて、出産した後に競技に復帰する場合は家族の協力が得られればいいですが、そうでない場合は自分で託児所やベビーシッターを探さなければならないんです。
なので、日本にもこういう支援システムがあればいいな、そうすれば、みんな安心して競技に専念できるし、長く現役生活を送れるんじゃないかなって思っていました」
出産後に競技に復帰したくても、子供を預ける場所が見つからず、競技復帰を諦めてしまった女性アスリートは少なくない。例えばそこに、米LPGAツアーのように競技団体が主となって女性の競技復帰をサポートするシステムがあれば、競技を続ける選択をした人もいただろう。