「息子の存在が私を強くする」 子育てしながら五輪へ…30代でたどり着いたポジティブな考え方――バレーボール・岩崎こよみ

ロールモデルとする“先輩”荒木絵里香の姿
苦しい時は、かつてチームメイトであり、先輩でもある、荒木絵里香(現クインシーズ刈谷・チームコーディネーター)の姿を思い出した。自分よりも7年前に出産し、コートに復帰した荒木は、岩崎のロールモデルだ。
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「私から見たら絵里香さんは『鉄人』。目標に置くことさえ憚られる大きな存在です。そんな絵里香さんが『子どもが泣いているのに試合に行かなきゃいけない』と落ち込んだり、移動中のバスで娘さんと遊んでいると『疲れてるのにごめんね』と周囲に気を遣ったりする姿をずっと見てきました。
大変だなと思うことはありますが、『あの絵里香さんだって困っていたんだから、私がうまくいかないのは当たり前!』と思うと気持ちがちょっと軽くなります」
若い頃の自分にとって、バレーボールは目標を達成させるために何かを犠牲にして取り組むものだった、と言う。しかしポジション転向や移籍、そして多くの指導者、仲間との出会いによって、バレーボールに対する考え方がどんどんポジティブなものに変わっていった。
「30歳を超えて、出産して、子育てをしながらプレーする今、昔よりもずっとバレーボールが楽しい。何より息子の存在が、私を強くしていると思います」
長く競技を続けているからこそ知り得た、バレーボールへの想い。だからこそ、長く競技を続けたいと願う女性アスリートを応援したい気持ちも強い。
「女性アスリートは結婚、妊娠、出産などによって(環境が)変わりやすい。それでも、競技を諦めることなく続けられる選手が増えたらいいなと思います。
出産後に気づいたのは、周囲は手を差し伸べたくても、子育てをするアスリートが何に困っているのかがわからない場合が多い、ということです。出産からたった4年ですが、子育てをする選手の一人として声を上げ続けてきた結果、チームのサポート体制はものすごく充実してきました。
困りごとが周囲に認知されるだけでも、(競技と子育ての両立を希望するアスリートにとって)大きな前進になります。ときどき『あ、思い切って言い過ぎちゃったかも!』とドキドキすることもありますが(笑)、これからも自分から声を上げたり、手助けをしたりと、できることをしていきたいと思います」
■岩崎 こよみ / Koyomi Iwasaki
1989年5月1日生まれ、東京都出身。ポジションはセッター。姉の影響で9歳からバレーボールを始める。2008年、下北沢成徳高校卒業後、V.プレミアリーグのパイオニアレッドウィングスに入団。09年、日本代表に初めて選出され、同年、モントルーバレーマスターズで国際大会デビューを果たす。14年、パイオニアの廃部にともない上尾メディックス(現・埼玉上尾メディックス)に移籍。17年、7年ぶりに日本代表に招集された。18年はフィロットラーノ(イタリア)に期限付き移籍。翌19年、埼玉上尾メディックスに戻ると、20-21年のシーズンは出産のため公式戦を欠場。21年5月、第一子である長男を出産し、21-22年シーズンに復帰を果たす。23年、出産から復帰後、初めて日本代表に選出。翌24年、パリ大会で自身初の五輪に出場した。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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