思春期に「絶望」した少女が車いすバスケで見つけた居場所 古野祥子はなぜ、男子相手に戦うのか
車いすバスケットボールの天皇杯が31日、東京体育館で開幕し、神戸STORKS(西日本2次予選2位)は長野車椅子バスケットボールクラブ(甲信越1位)に32-49で敗れ、1回戦敗退となった。女子選手の古野祥子(4.5)はチーム2位の38分15秒出場で4得点、5リバウンド。思春期に一度絶望を味わった39歳は、男子に混じってプレーすることで常に成長を目指している。

車いすバスケットボール天皇杯
車いすバスケットボールの天皇杯が31日、東京体育館で開幕し、神戸STORKS(西日本2次予選2位)は長野車椅子バスケットボールクラブ(甲信越1位)に32-49で敗れ、1回戦敗退となった。女子選手の古野祥子(4.5)はチーム2位の38分15秒出場で4得点、5リバウンド。思春期に一度絶望を味わった39歳は、男子に交じってプレーすることで常に成長を目指している。
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想像以上の高さに手元が狂った。男子の健常者とマッチアップした古野は、伸びてくる手を警戒するあまり、普段の軌道でシュートを打てなかった。
「思ったよりもデカかった」
フィールドゴールの成功は13本中1本のみ。チーム2位の38分15秒出場で5リバウンドも、4得点に終わり本音がこぼれた。相手との距離を取るべきだったのに近づきすぎてしまったと即座に反省。「欲張ったところがあった」と悔いた。

39歳の古野が車いすバスケを始めたのは高校2年の頃だった。健常者のバスケにのめり込んでいた中学3年時に右足首の靭帯を断裂。高校に進学後、骨膜で靭帯を再建する手術を試みたが麻痺が残り、長い距離は歩けなくなった。
思春期の少女にとって、仲間に頼りにされるバスケだけが「自分の居場所」であり「存在価値」だった。それが奪われ、「めちゃくちゃへこんだ。絶望した」と振り返る。
再び前を向かせてくれたのが車いすバスケだった。競技を始めると中途障害者の仲間が増え、「ハイヒールが履けなくなって辛い」といった悩みを相談できるようになった。「車いすバスケに出会わなければもっと長い間落ち込んでいた」。新たな居場所で、日本代表として2014年のアジアパラ競技大会などにも出場。「もうちょっと上手くなりたい」という情熱は今も変わらない。
国際大会では男女別に行われる車いすバスケだが、国内大会では2016年10月から女子選手も登録可能に。古野も当初から男子に交じってプレーしてきた。最も障害が軽いクラスの4.5点選手のため、女子相手だと「できちゃう」ことが多かったが、高さと強さがある男子の前ではそう簡単にいかない。「男子のチームで頑張って、勉強してやれたら」。常に成長を願うからこそ、厳しい環境は大歓迎だ。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)
