「生理前に機嫌悪く…」「体重が重くなった」 五輪選手たちもつらかった生理と競技生活
有森氏「体調を伝えていないのは仕事をしていないのと同じ」
また、いかにして大事な大会にピークを持っていったかについては、「それを考えるようになったのは、実業団に入ってから」と有森氏。とにかく、どんな些細な体調の変化も、当時の所属チームの監督だった故・小出義雄氏に共有していた、と話す。
【特集】「タブーなしで考える女性アスリートのニューノーマル」 THE ANSWER的「国際女性ウィーク」特設サイトはこちら
「自分の体調について、監督にきちんと知らせることができていないアスリートはいっぱいいる。しかし、自分を強くしたいと思い、メニューを出し、波を作っている人に対して、体調を伝えていないのは仕事をしていないのと同じ。
それができれば、練習メニューもコントロールしてもらえるし、調子が悪くても良くても、お互い安心感と信頼を持ってやっていける。私は体調、体温、便や尿の色もすべて監督に知らせていた。すると、(体調の悪い日は)練習がなくなることはなかったが(笑)、今日の有森は疲れているからこのくらいにしておこう、と(コントロール)してくれた」
それを聞き、「有森さんの徹底したコンディション作りに脱帽。だからあの素晴らしい、感動する走りができたのかなと思った」とは伊藤氏。「私も社会人になり、スポーツを続けようとなってからコーチと月経周期を共有。でも、生理によって私の体にどういうことが起きているかまでは、わかっていなかったと思う」
有森氏と同様、コーチと情報を共有することで、タイムの変動があってもお互いが原因を理解することができたと話す。「大事なのは、先生やコーチとの信頼関係で成り立つコミュニケーションかなと思う。私も“この先生と一緒に結果を出したい”と思うから、生理の話もできたのだと思う」
桜間氏は「現在は女性アスリートに対し、月経周期のどのタイミングで、どういったトレーニングをするのがベストかといった研究も進んでいる。一方、(月経周期による)調子の良しあしは、個人差が大きく、トレーニングのタイミングや内容は、やはり個別対応をするのが現状。
そのため、自分は月経周期によって、どういった心情や体重、体調になるのかをきちんと記録をしておくこと。記録から自身でコンディションの傾向を把握し、指導者やトレーナーと共有していくことが大事」と話した。
(THE ANSWER編集部)