「まじめなアスリート」こそ危険な摂食障害 鈴木明子と専門家が考える怖さと原因とは
女性アスリートのコンディショニングについて考える、スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」のオンラインイベント「女性アスリートのカラダの学校」が3月14日に行われ、レスリングのリオデジャネイロ五輪女子48キロ級金メダリスト・登坂絵莉さん(東新住建)とフィギュアスケートで五輪2大会連続出場した鈴木明子さんが登場。計200人の応募が集まったイベントをレポートする。
オンラインイベント「女性アスリートのカラダの学校」第2部レポートvol.1
女性アスリートのコンディショニングについて考える、スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」のオンラインイベント「女性アスリートのカラダの学校」が3月14日に行われ、レスリングのリオデジャネイロ五輪女子48キロ級金メダリスト・登坂絵莉さん(東新住建)とフィギュアスケートで五輪2大会連続出場した鈴木明子さんが登場。計200人の応募が集まったイベントをレポートする。
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アスリートの月経問題の発信、啓蒙活動を行っている競泳五輪2大会連続出場した伊藤華英さんをMCに、月経周期を考慮したパフォーマンスの研究・開発に取り組み「THE ANSWER」で連載も手掛けている日体大・須永美歌子教授を講師に迎え、各1時間行われた。今回は、第2部に登場した鈴木さんが語った中から「摂食障害」のパートを取り上げる。(文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)
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イベントでは、鈴木さんがかつて闘った摂食障害について、まず取り上げた。バンクーバー、ソチと五輪2大会に出場し、29歳まで現役で活躍した鈴木さん。大学1年生の頃、摂食障害を患って体重が32キロまで落ち、競技を休養したことは知られている。
鈴木「18歳の時、大学進学で親元を離れる初めての経験に、いろんなことが重なった結果の摂食障害でした。高校生は生理が来て、体つきが女の子から女性に変わり、どれだけ食べてもお腹が空くような年代。でも『太ったらジャンプを跳べなくなる』『体が大きくなると結果が出にくい』と言われる空気感が周りにあり、『太ることが悪』『成長することが悪』と自分の中に刷り込まれていました。
高校生までの食事管理は母でした。親元を離れて、今度は自分で自由にやろうと思っていたのですが、私は完璧主義なところがあり、絶対にコントロールしてみせるという気持ちが強くなりすぎてしまいました。自分で責任を負わないといけない。極端に食事を制限し、次第に食べることが怖くなって、体重が増えることがダメな選手とレッテルが貼られてしまうと思ったのが病気のきっかけです」
伊藤「選手は常に結果で評価される存在で、負けず嫌いなところがありますし、そういう周囲の空気感が心理に影響を及ぼすように思います。体操、フィギュアスケートの審美系競技のほか、陸上長距離など、女性アスリートが摂食障害になる要因はどんなところにあると感じますか?」
鈴木「審美系といわれるフィギュアスケートは衣装で体(のライン)がそのまま見られます。太っているから点数が低くなることはないですが、“それが美しいものか”という自分の理想に捉われがち。あとはフィギュアスケートのように回転したり、ジャンプしたりする競技は軸が細い方が速く回れます。女性らしくなれば、丸みを帯びたりがっちりしたり、それが競技の技術に影響が出てくるから捉われやすいのかなと感じます」