「試合中に経血が漏れないか不安です」 登坂絵莉が向き合った学生選手の切実な悩み
女性アスリートのコンディショニングについて考える、スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」のオンラインイベント「女性アスリートのカラダの学校」が3月14日に行われ、レスリングのリオデジャネイロ五輪女子48キロ級金メダリスト・登坂絵莉選手(東新住建)とフィギュアスケートで五輪2大会連続出場した鈴木明子さんが登場。計200人の応募が集まったイベントをレポートする。
オンラインイベント「女性アスリートのカラダの学校」第1部レポートVol.3
女性アスリートのコンディショニングについて考える、スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」のオンラインイベント「女性アスリートのカラダの学校」が3月14日に行われ、レスリングのリオデジャネイロ五輪女子48キロ級金メダリスト・登坂絵莉選手(東新住建)とフィギュアスケートで五輪2大会連続出場した鈴木明子さんが登場。計200人の応募が集まったイベントをレポートする。
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アスリートの月経問題の発信、啓蒙活動を行っている競泳五輪2大会連続出場した伊藤華英さんをMCに、月経周期を考慮したパフォーマンスの研究・開発に取り組み「THE ANSWER」で連載も手掛けている日体大・須永美歌子教授を講師に迎え、各1時間行われた。今回は、第1部に登場した登坂選手が答えた中から「質問コーナー」のパートを取り上げる。(文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)
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イベントの最後に行われたのが質問コーナー。事前に参加者から寄せられていたものに対し、登坂選手と須永教授が中心に答えた。現役の中高生世代から男性指導者、保護者まで。それぞれの疑問、悩みに向き合った。
【質問】中学2年生で柔道をやっています。試合前に3キロ減量するのですが、生理が重くて、試合と重なるのがつらいです。登坂さんはどう乗り越えて自己コントロールしていましたか?
登坂「私は生理中、生理痛が一番つらかったので、いつも痛み止めを飲んでいました。パフォーマンスにあまり影響が出なかったので、私の場合は痛みを抑えれば問題なかったです。もしパフォーマンスに影響が出るなら、試合を重ならないように、先ほども話に出たピル(レポートVol.2参照)を考えてみるのも手かもしれません。ただ、合う合わないがあるので、しっかりと婦人科で相談してほしいです。あと私が生理中に一番気になったのがナプキン。私はタンポンを使って、問題はクリアにしていましたが、やっぱり気になりました」
伊藤「須永先生、今回は中学2年生の相談でしたが、ピルはもう使用できるんですか?」
登坂「確かにそうですね。聞いてみたいです」
須永「WHOでは初経発来後から開始して良いことになっています。しかし、日本における低用量ピルの添付文書では骨成長が終了していない可能性がある場合には禁忌とされています。骨成長の終了は、平均で15歳くらいですが、成長には個人差がありますし、婦人科医と相談の上、服用するかどうか決めていただきたいです」
伊藤「なるほど。やはり、私も婦人科の診断をオススメしたいです。専門的な立場にいる先生と相談していくことで答えが見えていくと思うので」
【質問】女性アスリートの諸問題について男性コーチが学んだ後、どう行動に移せばいいでしょうか。思春期の子供、親御さんに影響が出るのではないかと心配になります。
登坂「私の周りにも生理について全く問題なく話せる子と、あまり触れられたくない、言いづらい子もいるので難しいですよね。ただ、パフォーマンスが良くなかった時に選手がコントロールできない部分で何かが起きている可能性もあります。指導者の先生がちゃんとそれを把握しているということが分かるだけでも、選手は気が楽になるかなと感じます」
須永「まずはその子によるということ。選手の性格や状況。ただ、男性コーチが月経周期によってコンディションが変化すると知ったからといって、その視点ばかりで見てはいけないと思います。コンディションの良し悪しの原因は決して月経だけではありません。何かにつけて『生理か?』という聞き方は好ましくないし、なんでも生理のせいにするのも良くありません。パフォーマンスが低下した場合、女性アスリートは原因の一つに月経がありますが、食事かもしれないし、友達との喧嘩かもしれないし、いろいろある。そういう視点を男性指導者に持ってもらいたいです」