ママアスリートの先駆者 クレー射撃・中山由起枝が変えたい日本社会の理解度
クレー射撃日本代表として東京五輪の出場が内定している中山由起枝。正式決定となれば夏季五輪出場は5回を数え、柔道の谷亮子氏に並び女性選手では2人目の偉業となる。24年にわたる競技生活の大半をママアスリートとして過ごしてきた中山は、「子どもを産んでからの方がドッシリ進められているのかなって思います。いやぁ、一皮むけましたね」と笑顔を弾けさせた。
ママアスリートとして娘と歩んだ競技生活「すごくいい励みになりました」
クレー射撃日本代表として東京五輪の出場が内定している中山由起枝。正式決定となれば夏季五輪出場は5回を数え、柔道の谷亮子氏に並び女性選手では2人目の偉業となる。24年にわたる競技生活の大半をママアスリートとして過ごしてきた中山は、「子どもを産んでからの方がドッシリ進められているのかなって思います。いやぁ、一皮むけましたね」と笑顔を弾けさせた。
【特集】集大成として臨む5度目のオリンピック 母娘の二人三脚で歩んだ現役生活 / クレー射撃日本代表・中山由起枝選手インタビュー(GROWINGへ)
初出場は2000年のシドニー五輪。競技生活わずか2年余りで挑んだ大舞台は「真っ白だったので覚えてないです(笑)」。その翌年に長女を出産し、一時競技を離れたが、2003年に復帰。子育て、競技生活を両立させ、2008年の北京からロンドン、リオデジャネイロと3大会連続で五輪出場を果たした。
ママアスリートの先駆者として愛娘と二人三脚で競技人生を歩んできた中山は、今年3月3日に設立された一般社団法人MAN(Mama Athletes Network)の理事に就任。産前・産後の女性アスリートをサポートする活動にも力を入れている。
MANは、女性アスリートのサポート組織として2014年にスタート。女性アスリートが子どもを持ちながらも競技生活を続けていける社会の実現をめざし、活動しており、中山はワーキングメンバーとして自身の経験に基づく情報を伝えてきた。こうした活動に参加する背景には、「競技生活と子育てを両立させることでメンタルが安定し、すごくいい励みになりました」という自身の経験がある。
女性アスリートの多くは、結婚、出産という人生の節目を迎えると、競技を続けるか否かという究極の選択に頭を悩ませる。競技を優先させるべきか。結婚・出産を優先させるべきか。両方を同時進行させるのは欲張りなのか。こういった悩みはアスリートに限らず、働く女性にも共通するものだろう。そんな悩める女性たちに、中山はシンプルなメッセージを送る。
「一度しかない人生なので、悔いの残らないように。女性としての幸せと競技者としての幸せ、2つを同時期に得ることに対して、日本はなかなか理解が深まらないんですけど、子育てをしながら女性としても競技者としても頑張れるという想いをしてほしいんです」