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指導者が「理解しがたい」月経前症候群 「甘えだ」と言う前に理解してほしい症状

指導者が「理解しがたい」と言うPMS、「甘えだ」と捉える前に理解してほしい症状

 次に、もしも、体に起こる症状が、日常生活に支障をきたすほどツラい、あるいは大事な試合に症状が出ることを避けたいということであれば、婦人科の医師に相談するのも一つの方法です。PMSによる体の不調の治療には、低用量ピルが有効とされています。

本当にしんどかった重い生理痛 婦人科医に相談、服用し始めたピルが私には合った――サッカー・仲田歩夢選手【私とカラダ】

 指導者の方に対しては、まずPMSという不快な症状があることを知って欲しい。

 実はPMSは指導者から「理解しがたい」と言われる代表的な症状です。理由は、そもそもPMSがなんであるか知らない指導者が少なくないことが一つ。そして恐らく、経血のある生理中と異なるため、現象としてわかりにくい点も一つ。「ベッドから起き上がれないほどの激痛が走る」というような生理痛と異なり、「何となく調子が悪い」「気分が落ち込む」など、不定愁訴に近いため、「気のせい」「甘えだ」「言い訳だ」と捉えられてしまうようです。

 PMSは経験者でないと心身への影響が理解できないため、男性指導者だけでなく、女性指導者からも理解を得られないケースが多々見られます。しかし、経験者でなくとも、女性は性ホルモンの影響で様々な心身の揺らぎがあることを、子どもたちや選手をみる立場の方たちには、理解してほしい。

 例えば、いつもと同じような言葉をかけたつもりが、急に選手が泣き出したり、激しい落ち込みをみせたりすると、「自分が厳しすぎたのか」「傷つけてしまったのでは」とショックを受けると思います。しかし、先ほども言ったように、PMSはネガティブな精神状態になることが特徴です。いつもなら受け止める言葉を敏感に受け止める様子がみられたら、少し注意して、体と心の調子の変化をみてあげてください。

 PMSも生理と同じく、毎月、付き合っていくものです。そして、症状の強さには、個人差もあります。いつでもよいパフォーマンスを発揮できるよう、月経周期に伴って起こる心身の変化を受けとめながら、セルフマネジメントする力をつけていきましょう。

【生理前の気になる症状。コレってPMS?】

 PMSの症状はココロとカラダの両方に現れます。以下の症状が生理の1週間程前から始まり、生理がくるとともに消える場合、PMSの可能性があります。

<ココロの症状>
□イライラしやすく怒りっぽくなる
□ひどく落ち込む、うつうつ気分になる
□不安、緊張感、どうにもならないなどの感情がある(強くなる?)
□感情コントロールできず不安定に
□批判や拒絶に対して敏感になる
□いつもより疲労感がある
□集中力が低下する

<カラダの症状>
□おなかや下腹部に膨満感がある
□手や足にむくみがある
□頭痛や頭が重い感じがある
□胸が張って痛い
□腰に痛みや重みを感じる
□ひどく眠くなる
□体重が増える
□便秘になる

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)


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須永 美歌子

日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)、『1から学ぶスポーツ生理学』(ナップ)

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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