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バズった大谷映像生んだ咄嗟の設定変更 WBCの魅力伝えるカメラマンの奮闘「臨場感出せた」

野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は1次ラウンドを終え、13日(日本時間14日)から準々決勝ラウンドが始まる。熱戦を様々な角度から記録しているのが、MLB公式の映像カメラマン。日本代表「侍ジャパン」・大谷翔平(ドジャース)の満塁弾を横から捉え、1000万回視聴、4万3000いいねを超える大バズりを生み出したジョー・ナ氏に撮影秘話を聞いた。

先制の満塁弾を放った大谷翔平【写真:荒川祐史】
先制の満塁弾を放った大谷翔平【写真:荒川祐史】

大谷の満塁弾を横から捉えたMLB公式カメラマン

 野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は1次ラウンドを終え、13日(日本時間14日)から準々決勝ラウンドが始まる。熱戦を様々な角度から記録しているのが、MLB公式の映像カメラマン。日本代表「侍ジャパン」・大谷翔平(ドジャース)の満塁弾を横から捉え、1000万回視聴、4万3000いいねを超える大バズりを生み出したジョー・ナ氏に撮影秘話を聞いた。

◇ ◇ ◇

 東京ドームが一瞬、静まり返った。6日、侍ジャパンの初戦、0-0で迎えた2回1死満塁。4万2314人の目線が一斉に打席の大谷に注がれた。台湾のジェン・ハオジュンが1球、2球と投げるたびに全員が呼吸を止めて見守る。喧騒からの静寂。三塁側から大谷を狙っていたナ氏はふとカメラから顔を上げ、球場を見回した。

「ありのままの瞬間を見せないと」

 咄嗟の判断だった。スローモーションを撮影するための4K120fpsから、より肉眼に近い映像を収められる24fpsに設定を切り替えた。直後の4球目、大谷のバットが火を噴いた。先制の満塁弾。球場が揺れ、割れんばかりの歓声が耳を突き刺す。ダイヤモンドを一周する大谷を追いつつ、ナ氏のカメラは大波のようにうねる客席の熱狂も映し出した。

「球場全体が1人の選手に釘付けになっていたように感じた。それは米国ではなかなか見られない珍しいこと。だから急遽、設定変更を決断したんだ。野球は0から100に一気に達するスポーツ。あの瞬間、あの場は爆発するかのようだったよ」

 MLB公式Xで公開された迫力満点の動画は、瞬く間に世界中に拡散。1000万回視聴、4万3000いいねを超える大反響となった。「僕の仕事は、その場にいなかった人にも体感してもらえるように全てを捉えること。音も重要な要素。スローモーションにしなかったことで臨場感を出せたと思う。結果に満足しているよ」。やり直しのきかない一発勝負の世界。安堵と達成感が笑顔に滲んだ。

野球は「撮影するのが最も難しいスポーツ」

 NFLレイダーズの撮影から5年前にMLBの世界へ転身。「野球は撮影するのが最も難しいスポーツの1つ。要素が多すぎるんだ。ボールを追うだけじゃない。投手、打者だけでなく走者もいる。決定的瞬間を収めるためには事前の準備が必要なんだ」。ここぞの瞬間。特に大谷が打席に立つと、「何かが起こるぞ」といつも以上に身構える。

「あれだけ期待を裏切らない選手は見たことがない。大きな場面で必ずやってのける。あのホームランも、満塁でしかも母国の東京ドームで……。『出来すぎだろ』って思っていたら本当に打っちゃうんだから。みんなが求めていたことを実現させてしまったんだ」

 自分の仕事を「スポーツの歴史家」と評するナ氏。「僕たちがストーリーを捉えることで、100年後の人たちがそれを見て何が起きたか知ることができる」と強い責任感を持つ。同時に、スポーツファンとして鳥肌が立つような感動も忘れない。「野球は他のスポーツと比べて、最高潮とドン底の差が激しいと思う。ブザービーターもタッチダウンも素晴らしいけど、ホームランに勝る興奮はないね」。

 あっという間に0から100へと切り替わる。二度と来ない一瞬の興奮を余すことなく伝えるために――。ナ氏のレンズの先にあるのは、スポーツの魅力そのものだ。

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)

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