投手不在、柵越えNGの「新しい野球」 100か国近くで楽しまれる「ベースボール5」とは
野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は21日(日本時間22日)、日本代表「侍ジャパン」の3大会ぶり3度目の優勝で幕を閉じた。MVPに輝いた大谷翔平投手(エンゼルス)らの活躍で、日本は熱狂に包まれた。一方で、世界の野球に目を向ければ、2024年パリ五輪は競技から除外。予選の出場国は、209か国だったカタール・ワールドカップ(W杯)に対し、WBCは28か国に留まるなど、競技の普及・振興、国際化における課題も少なくない。
連載「ベースボールの現在地」#11、野球、ソフトボールに続く「Baseball5」
野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は21日(日本時間22日)、日本代表「侍ジャパン」の3大会ぶり3度目の優勝で幕を閉じた。MVPに輝いた大谷翔平投手(エンゼルス)らの活躍で、日本は熱狂に包まれた。一方で、世界の野球に目を向ければ、2024年パリ五輪は競技から除外。予選の出場国は、209か国だったカタール・ワールドカップ(W杯)に対し、WBCは28か国に留まるなど、競技の普及・振興、国際化における課題も少なくない。
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「THE ANSWER」ではWBC開催に合わせ「ベースボールの現在地」と題し、海外でプレー、普及活動してきた野球人の歩みや想いを連日発信。注目される数年に一度の機会だからこそ、世界の野球の今を知り、ともに未来を考えるきっかけを作る。最終回となる第11回は世界野球ソフトボール連盟(WBSC)リカルド・フラッカーリ会長に書面取材。“新しい野球”として注目を浴びる「Baseball5(ベースボール5)」の魅力、競技が秘める可能性について聞いた。(文=宮内 宏哉)
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“新しい野球”が今、世界で広がりを見せている。その名も「Baseball5」だ。
6年前にWBSCが新たなアーバンスポーツとして発表したばかり。まだ日本では馴染みが薄いが、「Baseball5の人気は予想を超えています。世界へ瞬く間に広がっています」と実感を込めるのはWBSCのリカルド・フラッカーリ会長だ。
2017年にキューバ・ハバナで初の国際大会が開催され、22年にはメキシコシティで初のワールドカップ (W杯)が開かれた。この大会で日本代表は銀メダルを獲得している。今年は第1回ユースW杯も実施予定。さらには2026年のダカール・ユースオリンピックの種目に追加されることが決まっている。昨年の東京五輪・パラリンピック期間中に体験ゾーンを設置。盛況となった。
「もちろん、新型コロナ禍は障壁となりましたが、東京五輪でもBaseball5を見せることができました。アフリカでも発展しています。初のアフリカ選手権では10か国が参加しました」
野球・ソフトボールとの大きな違いは、ボール1つあれば他に道具は必要ないことだ。
フィールドも塁間13メートル、フェアゾーンは一辺が18メートルの正方形とコンパクトで、広い球場を必要としないことから手軽にプレーできる仕様になっている。
1チームスタメンは5人。男女混合でなければならない。5イニング制で、守備は5人全員が内野を守る。そして投手はいない。打者が自ら持ったボールを素手で打つことでプレーが始まる。グラブもバットも使わない。