敗者すら「野球界の勝利」と語ったWBC史上最高の一戦 両軍指揮官の言葉に見たその価値
栗山監督「野球ってすげえな」米国監督も「野球界が勝利」
その後に行われた栗山監督の会見でも、ギル監督の思いに通じる言葉があった。
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「本当に思った通りメキシコも素晴らしいチームで、なかなか突破口ができないで苦しんでいる中、勝ち負けは別として野球ってすげえなと。やっている方も感動しましたし、見ている人たちもすげえなと思ってくれたと思う」
感慨深げに語る指揮官の目は、少し潤んでいるようにも見えた。
メジャーリーガーも多数参戦した今大会。この試合より前に行われていたプエルトリコ―メキシコ戦、アメリカ―ベネズエラ戦、そして日本―メキシコ戦と熱戦続きのWBCに、栗山監督は大きな可能性を感じていた。
「あれだけのトッププレーヤーが一試合に全てを懸けて戦う、本当に命懸けになった時、どんな凄いことを起こせるか。すごく感動したし、こういう試合は野球の本質のような感じが僕はした。色んな考え方があると思うが、メジャーのトップ選手も含めて全力で戦ってくれるのは物凄く意味があるし、僕自身も感動した。これが広がってほしい」
今大会のヒーローとなった大谷も、この試合後「こんなゲームをできるのは人生の中でもそんなあることではない」と語り、MLB公式もすぐさま「WBC史上最高の試合トップ10」と題する記事で1位にこの準決勝を選出した。
奇しくもこの翌日、決勝で日本に敗れた米国のデローサ監督も「野球界が勝利を収めたというのは間違いない」と会見で語っている。名勝負続きだった今大会。各国を率いる将たちの言葉から、その計り知れない価値が伝わってきた。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)