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福岡にある「欧州野球No.1エージェント」とは NPB新人王を移籍させた代理人の熱意

オランダリーグの球場の雰囲気【写真:本人提供】
オランダリーグの球場の雰囲気【写真:本人提供】

楽天の球団関係者から「上園って知ってる?」

 ある日、カナダでインターンをしていた頃の知人から、欧州の野球現場を視察予定のNPBの関係者を紹介された。実際に会った関係者から、ある日「上園って知ってる?」と尋ねられた。阪神で2007年に新人王を獲得した上園啓史投手のことだ。12年から楽天でプレー。15年オフに戦力外通告を受けていた。

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 上園には不完全燃焼の思いがあった。楽天最後の1年は怪我で戦線離脱の期間が長かった。退団後にオーストラリアのウインターリーグに参加し、思った以上に投げられたことで思いが再燃。ただ、NPBに戻るのは年齢的にも考えておらず、海外に目を向け、回りまわって長田氏の下に連絡が来たという。

 結果的に、上園はオランダ・オースターハウトのチームに入団することになる。欧州野球の関係者とも繋がりは深かったが、長田氏が野球選手と球団を繋げたのは上園が初めてだった。

 以来、欧州野球に興味を持つ野球人が増えた。コロナ禍の影響も受けたが、これまでにオランダ、チェコ、ドイツ、フランス、ベルギー、セルビア、ポーランド、ブルガリア、スロベニア、ウクライナと、欧州だけで10か国に選手を送ってきた。

 オランダで5年、ドイツで1年を過ごした後、「欧州での受け入れ先やパートナーはある程度開拓ができたが、自分が日本にいた方が日本側の海外志望者を拡大しやすい」と、18年に日本に帰国、福岡に事務所を移転した。

 欧州野球に関わって12年。現地の競技レベルを初めて目の当たりにした時「意外とちゃんとやっているんだな」と第一印象を持ったという。

 今回のWBCで話題になったチェコ代表は、本職が消防士や電気技師などの“アマチュア集団”。その他、欧州には「プロ」と呼べるリーグはなく、外国人選手とごく一部の代表選手を除けば、全員が他に本業を持つ状況だが、競技のレベルは低くない。

 仮に、日本人がオランダやイタリア1部リーグでタイトル争いに絡むなら「NPB経験者でないと相当難しい」という。一般的な独立リーグや大学野球経験者では難しいほどで、アマチュアリーグではあるがトップクラスの選手は相当な実力だ。

 長田氏は「ヨーロッパの野球を日本と同じ職業野球感覚で捉えるとレベルは低く、興行としての規模も相当小さいですが、アマチュアとして、練習も週数回、各数時間と考えたら相当な競技力だと思います」と頷く。

「少なからずお金が発生する人もいるので、幼い頃からの趣味や習い事が熱を帯びて複業になる感じに近いと思います。欧州野球人は自分たちをプロ野球選手だとは思っていないので、今の野球への向き合い方は彼らのライフスタイルや文化背景に適したものだと思います」

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