侍ジャパンで株を上げた3人 東京D最終戦に強行出場した源田壮亮は「命をかけている」
「翔平らしさが出るのは実はああいう時」
そして、大谷である。先発投手として1球1球、雄叫びを上げながら投げ込む姿には鬼気迫るものがあった。そして、両チーム無得点で迎えた3回無死一塁の打席では、まさかのバント安打で日本中をあっと驚かせた。相手守備陣は大谷に対し、一、二塁間を3人の内野手で固め、三遊間を三塁手1人で担うシフトを敷いていたが、その逆を突いた。慌てた相手の悪送球も誘い、無死一、三塁にチャンスが拡大。この回一挙4得点へつながっていった。
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「理想はもう少し強めに(外野に達する打球で)、確実に一、二塁をつくれるバントだったけれど、結果的にそれ以上の一、三塁になったので、狙いとしてはよかったのではないかと思います」と振り返った。「あの場面では、引っ張ってゲッツーになることが最悪のシナリオなので、リスクを回避しながら、なおかつハイリターンを望めるチョイスをしたつもりです。結果的に一番いい形になって、ビッグイニングをつくれたのはよかったです」と理路整然と説明した。
桁違いの飛距離の本塁打も魅力だが、相手の意表を突き、チームにとって最善の策を選択したセーフティバントも、大谷のクレバーな一面をファンに再認識させた。日本ハム監督時代にも5年間大谷を見守った栗山監督は「ずっと彼を見てきましたが、翔平らしさが出る時というのは、実はああいう時。この試合を絶対勝ちにいくんだと、野球小僧になり切った時に彼の素晴らしさが出てくる」と強くうなずいた。
負けたら敗退の一発勝負では、こうして選手たちの新たな魅力が次々と見えてくる。今回の侍ジャパンの戦いは最多でもあと2試合。いまやそれでは物足りなく感じるほどだ。
(宮脇 広久 / Hirohisa Miyawaki)