大谷翔平とも一致 WBCキューバの中日右腕の変化球に隠された技術「今後の野球のトレンドに」
注目が集まる縦スラより「真っすぐがより凄い」
確かに、野球界ではよく言われる「真っすぐと変化球が同じ腕の振り」ということは大切な技術です。もちろん、真っすぐと同じように発射させて、打者に真っすぐと思わせたいボールは、真っすぐの時に近しい投げ方、リリースポイントの方がいい。
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でも、真っすぐに思わせなくてもいいボール、それ以上に変化を重視するボールは意図的に変えてもいい。打者を抑えるためにこういう変化をさせた方がいいから……と逆算して投げ方を変える選択は、今後もあると思います。
昨年、それこそ大谷投手が分かりやすく体現していました。左打者の外からストライクゾーンに入れる時、右打者の外にボールを投げる時に明らかに横から投げていました。ただ、勘違いしてはいけないのは、これは球速ありき。球速がないとリスクがある技術ということです。
ロドリゲス投手はどうしてもスライダーに注目が集まりますが、個人的には真っすぐがより凄いと感じています。
球速が速く、しかもカット系の真っすぐ。例えば、右打者の外角の高めに行った時はカットしながら浮き上がるような軌道。昔のメジャーリーガーでいえば、マリアノ・リベラ投手(元ヤンキース)、最近ならケンリー・ジャンセン投手(レッドソックス)のようなクローザータイプの真っすぐです。
逆に、これは意図的に投げているのかは分かりませんが、低めに行った時はそのままややスライドしながら、打者からすると落ちるくらいに感じる真っすぐ。それを150キロ台中盤から後半くらいの球速で投げているので、個人的には一番凄いボールと思っています。
スライダーはもちろん一線級ですが、この真っすぐはなかなか投げる投手はいない……というか投げられない。球速が速い、これだけの“真っスラ”。しかも、今回も先発でも今回も常時150キロ台中盤が出ていて、さすが。また日本で先発投手として活躍する日が来るかもしれません。
■内田聖人 / Kiyohito Uchida
1994年生まれ。早実高(東京)2年夏に甲子園出場。早大1年春に大学日本一を経験し、在学中は最速150キロを記録した。社会人野球のJX-ENOEOSは2年で勇退。1年間の社業を経て、翌2019年に米国でトライアウトを受験し、独立リーグのニュージャージー・ジャッカルズと契約。チーム事情もあり、1か月で退団となったが、渡米中はダルビッシュ有投手とも交流。同年限りでピッチングストラテジストに転身。2020年に立ち上げたパフォーマンスアップオンラインサロン「NEOREBASE」は総勢400人超が加入、千賀滉大投手らプロ野球選手も多い。個別指導のほか、高校・大学と複数契約。今も最速155キロを投げる。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)