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ネット上で定期的に勃発 筋トレの「研究論文派VS自己流派」はどちらが正しいのか

岡田氏が考える「論文の良いところ」とは

 まず、論文の良いところは、トレーニーの不安を解消してくれる点です。皆、結果が出るか出ないかわからないトレーニングに取り組むのは、やはり不安ですし、結果がみえない時期ともなると、かなりツライです。ですから、答えをどこかに求めたいし、信じるものがほしい。その点、研究論文は一つの答えを出してくれるので、不安を確証や確信に変えてくれる。だから論文に示される結果に救われる人もいるし、拠り所にして頑張れる人もいます。心から頑張ろうと思えるということは、その人が持っている真の力を発揮する準備が整うことと言えるので、とても大切です。

 一方、いくら論文で効率が良いとされても、現実的に守れない方法であればそこまでとらわれる必要はない、というのも私の考えです。研究論文のもとになる実験というのは、その研究の目的を達成できるようにデザインされた条件で行われるものです。これは、実生活の条件に合わないことも多々あります。また実験に参加した被験者は、あなたとは違う性質の人かもしれないし、究極のことを言ってしまえば同じ遺伝子ではありません。

 要は、あなたには当てはまらない可能性がある、ということです。

 一般的に多くの社会人は8時~18時頃までは通勤中・仕事中だと思いますが、「18時までは仕事でトレーニングできないので、筋トレの時間を20時に設定しました」なんて論文はほぼないでしょう。だいたいの論文が、日中に筋トレをさせた実験から導いた結果なので、そもそもリアルな生活に当てはまっていません。

 論文と同じ結果を求めるのであれば、その実験条件を厳密に再現する必要があります。しかし、食事の時間に内容、通勤時間、仕事中の活動量などは一人ひとり異なります。自分自身の生活を振り返っても、睡眠時間が変わったり、出張が入ったりと、毎日、まったく同じ生活が繰り返されているわけでもありません。仕事や環境が変わることだってあるでしょう。このように、実社会での実態は異なるのに、作り出されたある実験条件から得られた結論で、筋トレの最大効率を語ることはできません。あくまで、示唆を得る、考える元になる情報を得る、ということとして扱うのが良いでしょう。

 また、論文は概ね平均値から語られる結果ですので、実験に参加した個人個人の結果をみれば、それぞれ違いもあります。人間ですから、まったく同じ結果が出ないのは、当たり前ですよね。それまで積み重ねてきたトレーニング経験も全く違う。もっと言ってしまえば、そもそも遺伝子が違うのですから。

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岡田 隆

1980年、愛知県生まれ。日体大准教授、柔道全日本男子チーム体力強化部門長、理学療法士。16年リオデジャネイロ五輪では、柔道7階級のメダル制覇に貢献。大学で教鞭を執りつつ、骨格筋評論家として「バズーカ岡田」の異名でテレビ、雑誌などメディアでも活躍。トレーニング科学からボディメーク、健康、ダイエットなど幅広いテーマで情報を発信する。また、現役ボディビルダーでもあり、2016年に日本社会人ボディビル選手権大会で優勝。「つけたいところに最速で筋肉をつける技術」「HIIT 体脂肪が落ちる最強トレーニング」(ともにサンマーク出版)他、著書多数。バズーカ岡田公式サイトhttps://bazooka-okada.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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