【PR】最高のパフォーマンスを発揮するために― 阿部一二三と岡田隆が出した結論は?
東京五輪での活躍が期待される、柔道全日本代表の阿部一二三(日体大)。そして日体大では体育学部の准教授として、柔道全日本男子ではトレーナーとして、阿部選手をサポートする岡田隆氏。二人に試合で最高のパフォーマンスを発揮するためのコンディショニングの重要性を聞いた。
阿部一二三と、体のスペシャリスト岡田隆氏がコンディショニングについて対談
東京五輪での活躍が期待される、柔道全日本代表の阿部一二三(日体大)。そして日体大では体育学部の准教授として、柔道全日本男子ではトレーナーとして、阿部選手をサポートする岡田隆氏。二人に試合で最高のパフォーマンスを発揮するためのコンディショニングの重要性を聞いた。
――阿部選手は普段大学で、どのようにトレーニングを行っていますか?
阿部一二三(以下、阿部)「朝練で走りなどの持久系、午後に基礎練習を2時間行います。その後、1時間半程度のウエイトトレーニングをする日もありますが、僕は週2~3日しかやらないので少ないほうです」
岡田隆(以下、岡田)「ただ、阿部選手の場合、ウエイトトレーニングといってもすでに体を作るレベルではありません。いかに今持つ技術を高め、鋭い感覚を維持し、毎日の稽古で力を出し切るかのほうが大切」
阿部「そうですね。僕は強引に技を仕掛けることが多いので、ケガのリスクを減らしたり、もっと動きをよくしたりというのが目的。柔道で強くなるためのウエイトトレーニングです」
岡田「柔道家は最大筋力、筋持久力、心肺持久力、敏捷性、柔軟性、バランス能力、そして戦術と、求められる能力が非常に多い。すると、練習でやらねばならないことも多く、どうしても練習に時間がかかってしまいます。子どもの頃から続けてきたし、生き残ってきた強さがあるので本人は気づきにくいですが、実は体への負担はすごく大きい」
――では、起き上がれないほど疲労がたまることもありますか?
阿部「いえ、起きられない日はないですね。起きたくない日はあるけれど(笑)」
岡田「(笑)まだ、若いからね。ただ、体の内部で何が起こっているかはわからないですし、年齢が上がるにつれて、よりコンディショニングへの意識や知識は大切になります」
――今、コンディションを整えるうえで特に意識していることは?
阿部「基本の五大栄養素はしっかり摂るよう、バランスのよい食事を心掛けています。ただ、問題は減量時。量を食べられないと、どうしても栄養が偏ってしまう。普段以上に、何をどのタイミングで摂るのかを考えます」
岡田「先ほどの筋トレの話でもいいましたが、阿部選手ほど力のあるレベルの選手たちは、ふだんの稽古から常に100%の力で取り組んでいるし、当然、体も出来ている。あとやるべきことは、日々のコンディションをいかに整えていくか、なんです。だから、体のメンテナンスやリカバリーのための何を食べるかが重要になる」
阿部「確かに…。僕は小さい頃から風邪をほとんどひかないし、練習に出られないほど熱を出したり体調を崩したりすることがないんですね。だから以前は減量中も、あれこれ気にしていませんでした。でも、代表として合宿に参加する以上、結果を出すためには体調を崩せない。岡田先生に何を食べたらいいのか相談するようになったのもそれからですね」
岡田「その質問の内容に“一流だな”と感じました。ただ食べる量を減らす選手が多いなか、彼は“米はレトルトでもいいのか、炊いた飯のほうがいいのか”と聞いてきた。なかなかそこまでは気づけません」
減量時期のコンディション作りは実に繊細
――減量時期のコンディションはそれほど繊細なことも影響する?
岡田「そうですね。阿部選手の場合、試合に合わせてかなり体を絞るうえ、期待されている分、かかるプレッシャーも大きい。心身共にかなりの負担がかかっています。
減量期の体は、本人が思う以上に負荷がかかっている状態。正直、この時期は余力なんて残せていないと思います。しかも、体が飢餓状態だからか神経が高ぶって、夜も眠れない」
阿部「そうなんです。寝つきが悪く、すぐに目が覚めてしまいます。それでも翌日、元気に体を動かさないとダメなので……」
岡田「危険なのは、余力がないことに気づけないぐらい、体が興奮してしまうこと。だから知らず知らずのうちにダメージが溜まる。
しかも柔道は相手ありきの競技。コンディションの指標となりやすい心拍数も、相手の動き次第で変化してしまうので、体調の変化に気づきにくい。本当は体調が悪くても体は興奮状態なので、元気だと勘違いし、次の日も疲労に気づかず練習してしまう。そしてある日突然、ガクンと崩れてしまう」
阿部「確かに減量中は体調を崩しやすかったので、全日本の合宿中、“ボディメンテゼリー”のことを知って、すぐに試しました。ちょうど世界選手権(バクー)前の減量期だったので、練習後に毎日、ヨーグルトとボディメンテを摂るようにしたんです。そうしたら、翌日も体が軽く、毎日、しっかりと練習ができた。全然違うと感じたので、今でも練習後は、ボディメンテを欠かさず摂っています」
岡田「体って理論どおりにいかないことが多い。だから選手たちは、自分に何が合うかを探し出し、選んでいく力も必要なんです。トップの選手は自分の体に対しても敏感ですし、“いい”と体感するものを選んで正解だと思いますよ」
“崩れるのは一瞬”長く活躍するためには日々の姿勢
――最後に、大きな大会が続いていますが、どうモチベーションを保っていますか?
阿部「今の僕の目標はオリンピックで金メダルをとること。色々な大会で優勝することも嬉しいですが、満足する気持ちにはなれません。金メダルの目標に到達できるよう、一つ一つをしっかりやっていこうという気持ちがモチベーションになっています。
今後は、柔道家としての幅を広げるのが課題。例えば、僕はいつも立ち技で勝負しますが、寝技にも磨きをかけるなど、できることを増やしていく。隙のない選手がいちばん強いと思うので、技のバリエーションを増やしたいですね」
岡田「阿部選手には息長く活躍してほしいと思っています。全日本の井上康生監督は常に“作るのは時間がかかるが、崩れるのは一瞬だ”と言います。体が壊れてからでは何をしても遅い。阿部選手に限らず、スポーツをするすべての選手が体調を整え、コンディションを維持する重要性を知って欲しいですね」
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(THE ANSWER編集部)