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なぜ体操選手の肩はあんなに丸い? ボディメイク的に「体操が最強のスポーツ」のワケ

岡田氏が「体操競技が“最強のスポーツ”です」と言うワケとは

 さて、どんなスポーツであっても体を総合的に鍛えられますが、ボディメイクの観点で言うと私のなかでは体操競技が“最強のスポーツ”です。

「体操選手はバーベルやマシンを使った筋トレを(ほとんど)しない」と聞くと、皆さん、ビックリされます。あれだけ完璧な、隙のない体ですから、驚きますよね。しかし、私たちボディビルダーからみると、体操競技は種目そのものが筋トレなんです。

 例えば、吊り輪などでみられるジワーッとゆっくりした動作は、コンセントリック収縮(筋肉が力を発揮して短くなる)やエキセントリック収縮(筋肉が力を出すが伸ばされてしまう)を、着地でビタッと止まるような動きではアイソメトリック収縮(筋肉が力を出し長さが変わらないようにする)を、床でバンッと跳ねる動きはプライメトリック(伸張反射や筋腱複合体の弾性を利用して瞬間的に筋肉が大きな力を発揮する)を起こしています。

 このように体操競技では演技中、あらゆる種類の刺激が筋肉にかかっています。おそらく、それによって筋肉の機能が最大化されているのではないでしょうか。

 さらに、彼らは自分の体を自在にコントロールするなんて造作もないほど、強い筋力も持っている。体操選手はバーベルを担がなくとも、筋力はかなり強いと思います。何故なら、力にかなりの余裕がなければ、一糸乱れぬ美しさで動作することなど、不可能だからです。

 私たちがテレビなどで目にする選手たちは、オリンピック選手、またはその圏内にいる選手です。彼らは小さい頃から、強いライバルたちとしのぎを削り、勝負を勝ち抜き、頂点にいる人間たちです。ですから、ものすごい年月をかけてめちゃめちゃ鍛えられている。メロンのような美しい球体は、その過程があっての肩です。今日、鍛えたからといって明日なれるような筋肉ではありません。

 しかし、彼らは自重トレーニングをやりこめばあれだけ美しい体になれると、身をもって実証しています。ギリシャ彫刻のように力強く均整の取れた体は、まさに自重トレーニングが生んだ究極形。そう考えると、体操選手の体には夢がありますよね。

 東京オリンピックでは、試技だけでなく、ぜひ彼らの筋肉にも刮目しましょう!!

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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岡田 隆

1980年、愛知県生まれ。日体大准教授、柔道全日本男子チーム体力強化部門長、理学療法士。16年リオデジャネイロ五輪では、柔道7階級のメダル制覇に貢献。大学で教鞭を執りつつ、骨格筋評論家として「バズーカ岡田」の異名でテレビ、雑誌などメディアでも活躍。トレーニング科学からボディメーク、健康、ダイエットなど幅広いテーマで情報を発信する。また、現役ボディビルダーでもあり、2016年に日本社会人ボディビル選手権大会で優勝。「つけたいところに最速で筋肉をつける技術」「HIIT 体脂肪が落ちる最強トレーニング」(ともにサンマーク出版)他、著書多数。バズーカ岡田公式サイトhttps://bazooka-okada.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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