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選手村メニューでも各国・地域の料理に配慮 今、世界のアスリートに広がる食事とは

「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる多様な“見方”を随時発信する。「THE ANSWER」でスポーツ栄養の連載を手掛ける公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏は「オリンピックと食」をテーマに、スポーツの愛好家、指導者、保護者向けに短期連載を展開。第4回は「世界のアスリートに広がるプラントベースド」について。(構成=長島 恭子)

五輪選手村のメインダイニング【写真:Getty Images】
五輪選手村のメインダイニング【写真:Getty Images】

連載「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#64

「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる多様な“見方”を随時発信する。「THE ANSWER」でスポーツ栄養の連載を手掛ける公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏は「オリンピックと食」をテーマに、スポーツの愛好家、指導者、保護者向けに短期連載を展開。第4回は「世界のアスリートに広がるプラントベースド」について。(構成=長島 恭子)

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 東京五輪の選手村では、すべての選手たちが食べるものに困らないよう、世界各国・地域の料理を考慮したメニューだけでなく、ハラール料理やグルテンフリーの食材など、多様性に配慮した食事、食材を用意しています。

 現在、世界的に増加傾向にあり、世界のアスリートの間でも広がりつつある、プラントベースドの食事もその一つです。

 プラントベースド の食事とは、植物性の食品を中心とした食事です(※)。人、あるいは団体によって実践の方法や何を食べるかは異なり、少量の動物性食品をよしとする人もいれば、一切摂らない考えの人もいます。また、食材を丸ごと摂らないと必要な栄養素が摂れないという考えから、ホールフーズ(Whole foods)を食べること、精製された食品や加工食品、植物油を極力控えることを重視するプラントベースド ホールフーズ(PBWH)を実践する人も増えてきています。

 さらに「動物性の食品を一切食べない」ビーガン、「動物性食品でも卵や牛乳はOK」というラクト・オボ・ベジタリアン、「動物性食品でも乳・乳製品はOK」のラクト・ベジタリアンなど、個人の嗜好によってさらに細かく分かれています(※以上、アメリカ栄養士会の区分を参照)。

 現在、プラントベースドの食事がアスリートにとって妥当か否かの結論は出ていません。ただし、観察研究及び短期介入研究に基づく最近のレビューによると、最大12週間、ベジタリアン食を非ベジタリアン食の代わりに実践しても、筋力、パワー、パフォーマンスは有利にも不利にもならないことが報告されています。また、野菜や豆、果物等の抗酸化物質を豊富に含むプラントベースド食は、マラソンのような持久系競技に見られる上気道感染症(風邪症候群)の発症率が低いことも報告されています。

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橋本 玲子

株式会社 Food Connection 代表取締役

管理栄養士/公認スポーツ栄養士

 ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJリーグ横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビーリーグワン・埼玉パナソニックワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けてのスポーツ食講座なども行う。著書に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)

URL:http://food-connection.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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