阿部一二三、兄妹同時V達成「歴史に名刻めた」 妹・詩は32分前に金獲得「凄い燃えた」
東京五輪は25日、柔道男子66キロ級の決勝が日本武道館で行われ、阿部一二三(パーク24)がバジャ・マルグベラシビリ(ジョージア)に勝利。女子52キロ級の妹・詩(うた・日体大)と、柔道五輪史上初の兄妹同日金メダルを獲得した。
東京五輪柔道男子66キロ級決勝
東京五輪は25日、柔道男子66キロ級の決勝が日本武道館で行われ、阿部一二三(パーク24)がバジャ・マルグベラシビリ(ジョージア)に勝利。女子52キロ級の妹・詩(うた・日体大)と、柔道五輪史上初の兄妹同日金メダルを獲得した。
一二三が兄妹の夢を結実させた。妹・詩も見つめる中で行われた決勝。開始2分が経過しようとしたところだ。阿部が大外刈りで技ありを奪取した。試合はそのまま終了。阿部が金メダルを獲得した。表情は変わらず。詩は飛び跳ねて喜んだ。畳から去る際にようやく笑顔になり、最後は正座で礼をした。
試合後のテレビインタビュー。阿部は「たくさんの人のおかげで(五輪が)開催されて、畳の上からガッツポーズとか笑顔で降りられるかと思っていたが、色んな事を考えると、たくさんの思いが込み上げてきた」と振り返った。
この試合の32分前、女子52キロ級決勝では妹・詩がアマンディーヌ・ブシャール(フランス)に崩袈裟固で一本勝ちし、金メダルを獲得していた。試合直前には「頑張れよ」と一言だけ声をかけたという。「妹が先に金メダルを取って、僕は凄い燃えたというか、絶対やってやると。プレッシャーなんてなかったです」と語った。
2回戦から登場した阿部。初戦はキリアン・ルブルク(フランス)に延長1分、大外刈りで一本勝ち。準々決勝はバスフー・ヨンドンペレンレイ(モンゴル)を技ありによる優勢勝ちで破った。準決勝はダニエル・カルグニン(ブラジル)と対戦。背負い投げ一本で、兄妹メダルを確定させていた。
夢としてきた兄妹での同時金メダルを獲得。「歴史に名を刻めたというか、歴史を変えれた、塗り替えれたと思う」と笑顔。「すごく大変な時期で五輪開催をしてもらい、僕たち選手はありがたい。史上初の同日優勝の目標、夢も達成できたのも、支えてもらっている周りの方々、いつも応援してくれているたくさんの人たちがいるからこそ。五輪チャンピオンという名に恥じないようこれからも頑張っていく」と力強くコメントした。
阿部は兵庫・神戸市出身。6歳で柔道を始め、日体大在学時の17、18年の世界選手権を連覇。しかし、19年8月の世界選手権では準決勝で丸山城志郎(ミキハウス)に敗れ、東京五輪の代表争いで逆転された。同年11月のグランドスラムでは決勝で丸山にリベンジを果たし、昨年12月には両者による代表決定戦に臨んだ。柔道界初のワンマッチ決戦で、24分にも及ぶ死闘の末に丸山を撃破。ライバルの思いも背負った東京五輪で、最高の結果を出した。
(THE ANSWER編集部)