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14歳で訪れた岐路 五輪金候補・四十住さくらの才能は「ラストチャンス」で開花した

横顔に垂らす髪はピンクに染めると決めている。名前にちなんだ桜色だ。大会で着る勝負服も赤系。オシャレにこだわりを見せる姿は、いたって普通の女子である。天真爛漫な笑顔に人懐っこい関西弁。ちょっぴり照れ屋だが、真っすぐな瞳で東京五輪の金メダルを力強く見据えている18歳がいる。

東京五輪の金メダル獲得が期待されているスケートボードの18歳・四十住さくら【写真:窪田亮】
東京五輪の金メダル獲得が期待されているスケートボードの18歳・四十住さくら【写真:窪田亮】

スケートボード・四十住さくらが立った岐路、14歳の賞金獲得がなければ「今はない」

 横顔に垂らす髪はピンクに染めると決めている。名前にちなんだ桜色だ。大会で着る勝負服も赤系。オシャレにこだわりを見せる姿は、いたって普通の女子である。天真爛漫な笑顔に人懐っこい関西弁。ちょっぴり照れ屋だが、真っすぐな瞳で東京五輪の金メダルを力強く見据えている18歳がいる。

【特集】“没頭力”が唯一無二の武器 競技歴6年、世界一の裏にある「飽きない」力 / スケートボード・四十住さくらインタビュー(GROWINGへ)

 スケートボードの四十住(よそずみ)さくら。10代の有力選手がひしめく競技で東京五輪の金メダル獲得が期待されている。世界を舞台に戦っているが、中学3年の時に競技を続けるための大きなターニングポイントを経験した。

 今では生活の中心となったスケートボードとの出会いは小学6年の時。13歳年上の兄・麗以八(れいや)さんが近所の公園で友達と楽しそうに滑っていた。「仲間に入りたいと思ってお兄ちゃんにスケートボードをもらった。褒めてもらうのが凄く好きだったので、練習を凄く頑張りました」。2人兄妹、純粋な子ども心でボードを手に取った。スポーツも特別やったことのなかった少女は、未知の世界へと駆け出した。

 一つのことに熱中したのは、12年間の人生で初めて。1年ほど経つと、両親は学校の教室より少し狭いくらいの自宅の庭にコンクリートを張り、専用練習場に改造した。登校前の朝6時半から滑り始め、下校後も2時間近く練習して塾へ。専門とするパークという種目は、複雑な形をした窪地状のコースで行われ、空中に飛び出した時に繰り出す技(トリック)を中心に競う。次第に本格的なコースを求めて県外の施設に通うようになった。

 神戸の練習場まで往復3時間。母・清美さんの運転で毎日通った。土、日曜は施設の営業時間の限り練習し、無我夢中で一日12時間もスケートボードに乗る。「お母さんは練習を見てくれるから睡眠時間もないし、凄く大変だと思います」。時には三重まで行くこともある。全国大会に出場するようになると、父・和次さんも東京までハンドルを握った。

 ただ、両親の温かいバックアップはいつまでも続けられるわけではなかった。娘の意欲と比例してガソリン代や高速道路料金も上がっていく。車中泊でホテル代を節約することもあった。海外にも遠征する。しかし、実績があるとはいえず、スポンサーがついているわけでもなかった。

 競技を始めて約3年、遠征費が底をつきかける。米国で行われる2017年1月の国際大会を控えた時、両親から言われた。

「さくら、これがもうラストやで。もうお金ないから」

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