世界の決勝ど真ん中が日本人 レンズ越しに鳥肌、ポーズにも涙にも贈りたい「敬意を表するッ」
2025年は東京世界陸上が開催されるなど、陸上界で数多くの話題が生まれた。各大会を取材した「THE ANSWER」では、選手たちが生み出した印象に残るシーンをカメラマンの写真とともに振り返る。

THE ANSWER編集部・カメラマンフォトコラム
2025年は東京世界陸上が開催されるなど、陸上界で数多くの話題が生まれた。各大会を取材した「THE ANSWER」では、選手たちが生み出した印象に残るシーンをカメラマンの写真とともに振り返る。
1991年以来、34年ぶりの東京開催となった9月の世界陸上。男子110メートル障害に出場した村竹ラシッド(JAL)は13秒18(向かい風0.3メートル)で5位入賞した。トラック種目では日本史上初の金メダルという期待も背負った3レース。スタート前のポーズを含め、日本中をワクワクさせた。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)
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決勝直前、カメラを構えた私は期待と緊張でドキドキしていた。
村竹は8月に12秒92の日本新記録を樹立。世界陸上で歴史的な金メダルの可能性もあった。撮り逃すわけにはいかない。
撮影位置はスタンドに決めた。スタート位置を撮るためだ。予選で「ボボボーボ・ボーボボ」、準決勝は「HUNTER×HUNTER」のネテロ会長と人気漫画、アニメのポーズを決めて話題に。決勝も同じくパフォーマンスが予想された。
いよいよ名前がコールされ、国立競技場が地鳴りのような歓声と拍手に包まれる。第5レーンの村竹は「ジョジョの奇妙な冒険」第6部のラスボス、プッチ神父になりきった。
上半身をやや左に傾け、右手は腰。左手の甲を向け、真正面を見据えた。「ジョジョ立ち」の一つとして知られるポーズ。覚悟、加速にまつわる名台詞もあるキャラクターで、村竹にピッタリだと感じた。
決勝のレーンど真ん中に佇む日本人ハードラーの姿は、鳥肌が立つほど感動的だった。結果は5位。たった0.06秒差で表彰台に届かず、レース後のインタビューでは男泣き。この大会に懸ける想いが、痛いほど伝わってきた。
トラック競技で堂々の世界5位。村竹の3レースは国立競技場だけでなく、日本中を熱狂させた。ジョジョ好きからは「ぼくは敬意を表するッ!」の言葉が贈られているかもしれない。
(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)
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