「1位以外取ってはいけない」 ラスト50mで掲げた左拳の意味 早大・山口智規が責任の「16点」
2025年は東京世界陸上が開催されるなど、陸上界で数多くの話題が生まれた。各大会を取材した「THE ANSWER」では、選手たちが生み出した印象に残るシーンをカメラマンの写真とともに振り返る。

THE ANSWER編集部・カメラマンフォトコラム
2025年は東京世界陸上が開催されるなど、陸上界で数多くの話題が生まれた。各大会を取材した「THE ANSWER」では、選手たちが生み出した印象に残るシーンをカメラマンの写真とともに振り返る。
今回は6月5日から4日間、岡山「JFE晴れの国スタジアム」で行われた第94回日本学生対校選手権(日本インカレ)。早大駅伝部主将・山口智規(4年)は男子1500メートルと5000メートルで2冠を達成。ガッツポーズの先には、臙脂(えんじ)の仲間たちがいた。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川知世)
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左拳を何度もスタンドに向け、力強く揺らした。
男子5000メートルの残り1周、先頭に出た山口はぐんぐんスピードを上げた。1万メートル優勝のキップケメイ(日本大・3年)が追うが、その差は広がるばかり。あっという間に最後の直線に入った。
ラスト50メートル。勝利を確信し、スタンドで見守る仲間の方へ視線を向けた。力強いガッツポーズ。最後は両手で作り「よっしゃー!」。吠えながらフィニッシュラインを越えた。

前日の1500メートル決勝でも圧巻のレースを展開。自身の記録とも戦う競技だが、タイマーが止まる前に仲間を意識する姿が印象に残った。チームでの総合優勝も目指す大会で、1位なら8点。山口は2種目1位で16点を早大にもたらした。
「16点を絶対に持ち帰りたかった。やっぱり臙脂を着るものとして、1位以外は取ってはいけないと思うので」。チームカラーとユニホーム胸の「W」は名門の誇り。「総合優勝したいよ。俺は」。ゴール後、責任感をにじませた一言をスタンドの仲間に放った。
優勝は逃したが、山口の16点で総合3位タイとなった。年明けには箱根駅伝が控える。2011年以来、15年ぶりの総合優勝を狙う主将。この日輝きを放ったような、鋭いラストスパートが見たい。
(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)
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