[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

長い長い2秒間のお辞儀 決勝打許した横浜の1年生、滲み出た先輩との絆「言葉にできないものが…」

第106回全国高校野球選手権の神奈川大会は24日、決勝で東海大相模が横浜を下し幕を閉じた。「THE ANSWER」では、168チームが参加したこの大会にカメラマンが密着し、フォトコラムを連日掲載。最終回で取り上げるのは、神奈川を代表する2校の激突で心揺さぶられたシーンだ。8回、横浜の4番手で登板したのは、背番号「6」を背負う池田聖摩(1年)。決勝打を打たれた後にグラウンドで見せた2秒間のお辞儀から、痛いほど悔しさが伝わってきた。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)

降板後、遊撃の守備位置で腰を直角に折ったまま2秒間静止する横浜の池田聖摩【写真:中戸川知世】
降板後、遊撃の守備位置で腰を直角に折ったまま2秒間静止する横浜の池田聖摩【写真:中戸川知世】

THE ANSWER編集部カメラマン「夏の高校野球神奈川大会フォトコラム」

 第106回全国高校野球選手権の神奈川大会は24日、決勝で東海大相模が横浜を下し幕を閉じた。「THE ANSWER」では、168チームが参加したこの大会にカメラマンが密着し、フォトコラムを連日掲載。最終回で取り上げるのは、神奈川を代表する2校の激突で心揺さぶられたシーンだ。8回、横浜の4番手で登板したのは、背番号「6」を背負う池田聖摩(1年)。決勝打を打たれた後にグラウンドで見せた2秒間のお辞儀から、痛いほど悔しさが伝わってきた。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)

 頭を下げ、腰を直角に折ったまま2秒間静止した。同点の8回、1死二、三塁から4番手で登板した池田は、東海大相模の三浦誠登外野手(2年)に同点打、中村龍之介外野手(2年)に左中間への決勝二塁打を許すと、降板を告げられ本職の遊撃へ戻った。夏の夕日が射す守備位置につくと、腰を折ってお辞儀。目を開いたまま、帽子とグラブを持った自身の腿あたりを真っすぐ見ている。後ろには影が伸び、長い長い2秒間だった。

 5番手の若杉一惺(1年)にマウンドを譲り、もう一度遊撃に戻る姿が気になったところで発見したシーンだった。白線をまたぎ、フィールドへ入る際に一礼する選手は多いが、これは行動から“重さ”が伝わってきた。悔しいという文字が見えるかのような場面。気持ちが痛いほど伝わり、シャッターを切った。

 いったい、何を考えての行動だったのだろう。

 試合に敗れた悔しさが充満する横浜のベンチ裏で、池田の姿をみつけた。「良くしてくださった3年生の最後の夏、自分の投じた球で甲子園の舞台をなくしてしまったことが悔しい。言葉にできないものがあります」と肩を落とし、さすがに言葉にも力がなかった。

「打たれてしまったのは過去のこと、引きずってはいけないと思っていたので、心を落ち着かせたかった」。遊撃に戻っての長い一礼は、何とか切り替えようとする思いから。腿に手を当て一息ついたが、心のシフトは簡単ではなかった。

「逆転されたままだったので、切り替えはできませんでした。でも先輩たちが遠くから合図してくれたり、声をかけてくれて守りきれました」。仲間からの支えが、最後までフィールドに立ち続ける原動力になったという。

 池田は今大会、ショートリリーフとして準決勝までの6試合中3試合に登板。1回2/3を投げ失点どころか、被安打もなかった。最後の夏となる3年生も、信頼して送り出したはずだ。名門・横浜の遊撃を守り、決勝では一打逆転という重圧のかかる場面で投げた1年生。夏はあと2回ある。今後の成長を見守りたくなるようなシーンだった。

(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA Jleague
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集