「バチッと目が合って…」 Vリーグ決勝かけた勝負所、くしゃっとした笑顔で交わした2人の言葉なき会話
バレーボールのV1リーグ女子ファイナルステージ準決勝が25日、東京・片柳アリーナで行われ、今季4位の埼玉上尾メディックスが同1位のJTマーヴェラスに健闘するも、1-3(16-25、25-23、20-25、20-25)で敗れ、セミファイナルで敗退。優勝への道は途絶えたが、競った第2セット(S)を奪取し、勝負所の次セットに向かう直前、コート上で黒後愛が交わした“言葉なき会話”があった。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)
THE ANSWER編集部・新人カメラマンフォトコラム
バレーボールのV1リーグ女子ファイナルステージ準決勝が25日、東京・片柳アリーナで行われ、今季4位の埼玉上尾メディックスが同1位のJTマーヴェラスに健闘するも、1-3(16-25、25-23、20-25、20-25)で敗れ、セミファイナルで敗退。優勝への道は途絶えたが、競った第2セット(S)を奪取し、勝負所の次セットに向かう直前、コート上で黒後愛が交わした“言葉なき会話”があった。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)
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何かを念じるようにギュッと抱き合った。第3Sが始まる直前、コートに出てきた黒後愛が一足先に入っていたロゾ・サラとハイタッチした後、両腕を広げられると、くしゃっとした笑顔でハグした。
2人は言葉を交わしていなかったが、黒後の表情が印象的で、含みがあるように映った。経緯が気になった。
シーズン1位の強豪相手に熱戦を制して第2Sを取り返した埼玉上尾。セットカウント1-1、流れを大きく左右する第3Sを前に自然と力が入る。集中した様子で出てきた黒後もハグには写真のような表情で応え、186センチのサラの肩にちょっと顔をうずめた。
試合中、たまにあるという仕草。今回は「バチッと目が合って感じるものがあった」と笑顔で明かした黒後。言葉がなくとも、サラの雰囲気を読み取ったという。
「お互い自分たちのプレーでもっとこうしたいというのがあったと思うし、 このセットを取りたい気持ちもあった。一つじゃまとめられない」。負ければ優勝がなくなる一発勝負。さまざまな感情が入り混じったまま、第3Sに向かったが、「サラも受け止めてくれた」と思いを“共有”した。
この場面があったからこそ、自分でなんとかしようと焦る気持ちはなくなった。「ひとりじゃないというか、支え合って頑張りたいと」。8得点のうちの4得点を第3Sのアタックで奪った黒後。「サラは熱いけどプレーは冷静。見習うことが多いです」と仲間に刺激され、得点を重ねた。
しかし、力及ばず惜敗。「とにかく勝ちたい試合だった」と決勝へ行けなかった無念を口にした。この悔しさを、仲間とともに3位決定戦へぶつける。
(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)