「なんか、飛んだぞ」 横浜の遊撃手・緒方漣、魂の一塁送球 帽子にサングラスまで宙を舞う
第105回全国高校野球選手権・神奈川大会は8日から熱戦が繰り広げられている。「THE ANSWER」は新人カメラマンのフォトコラムを連日掲載。今回は、横浜の主将・緒方漣遊撃手(3年)。21日に横浜スタジアムで行われた準々決勝第1試合、チームは相洋に5-0と快勝し、4強を決めた。3回には帽子もサングラスも飛ぶ、魂を込めた一塁送球があった(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)
THE ANSWER編集部・新人カメラマン「夏の高校野球神奈川大会フォトコラム」
第105回全国高校野球選手権・神奈川大会は8日から熱戦が繰り広げられている。「THE ANSWER」は新人カメラマンのフォトコラムを連日掲載。今回は、横浜の主将・緒方漣遊撃手(3年)。21日に横浜スタジアムで行われた準々決勝第1試合、チームは相洋に5-0と快勝し、4強を決めた。3回には帽子もサングラスも飛ぶ、魂を込めた一塁送球があった(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)
◇ ◇ ◇
横浜の遊撃手から何か落ちた。2-0で迎えた3回、緒方は相洋の打者が放った三遊間の打球に懸命に追いつき、体をひねりながら一塁へ思いっきり腕を打った。すると、顔の近くに物が2つくらい飛んだのが見えた。
「なんか、飛んだぞ」。ボールを追ってレンズを向けていた私は、そう思って撮った写真を見返した。
帽子が飛んでいる。さらに掛けていたサングラスも宙に浮いていた。身体が流れる際に顔も一緒に振り切って飛んでいったように見えた。あまり見たことがない光景だったので、試合後、本人に聞いてみた。
「(サングラスも飛んだのは)初めてですね。意地でもアウトにしようと無理な体勢で投げました」
綺麗な球が行った一塁はセーフとなったが、際どいタイミング。力投するエースのために全身で投げた結果だった。
春のセンバツに当落選で漏れ、「先発の杉山(遙希・3年)頼みになってしまった」と言っていた緒方。この日も完封した左腕に「ヒットの当たりもアウトにする気持ちを持つことでカバーに繋がる」と守備でも支える気持ちを明かした。
「1年生の時からずっと頼もしい。杉山の存在があるから脇役としてやっていかないといけないこともある」
マウンドで一人投げる投手に「後ろには俺たちがいるぞ」と言うかのようなキャプテンシーが見えた躍動感あふれる送球だった。
(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)