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空中で体が一直線になった遊撃手 エースを想い、目一杯に伸ばした三浦学苑・金井陽希の左手

第105回全国高校野球選手権・神奈川大会は8日から熱戦が繰り広げられている。「THE ANSWER」は新人カメラマンのフォトコラムを連日掲載。今回は、三浦学苑の遊撃手・金井陽希(かない・はるき=3年)。12日にバッティングパレス相石ひらつかで行われた2回戦、チームは第3シードの湘南に1-2で惜敗したが、金井の仲間を想った一瞬のプレーを写真で切り取った。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)

全身を一直線にして懸命にグラブを伸ばした三浦学苑・金井陽希【写真:中戸川知世】
全身を一直線にして懸命にグラブを伸ばした三浦学苑・金井陽希【写真:中戸川知世】

THE ANSWER編集部・新人カメラマン「夏の高校野球神奈川大会フォトコラム」

 第105回全国高校野球選手権・神奈川大会は8日から熱戦が繰り広げられている。「THE ANSWER」は新人カメラマンのフォトコラムを連日掲載。今回は、三浦学苑の遊撃手・金井陽希(かない・はるき=3年)。12日にバッティングパレス相石ひらつかで行われた2回戦、チームは第3シードの湘南に1-2で惜敗したが、金井の仲間を想った一瞬のプレーを写真で切り取った。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)

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 三浦学苑の遊撃手が真っすぐな一本の線になった。0-2で迎えた4回、金井は湘南の小澤凜太朗(3年)が放ったライナーから目を離さず、懸命に追いかけた。力を込め、タイミングを図って飛ぶ。171センチ、63キロの全身を使い、頭を追い越しそうな球に目一杯、左手を伸ばした。

「おぉ、ここから伸びるのか」と高校生の必死の躍動に驚いた。

 この直前、三塁側から撮影していた私は、大きな掛け声で味方を鼓舞する背番号6が気になり、レンズを向けていた。すると、ちょうど飛んできた打球。咄嗟にシャッターを切りながら、ファインダー越しに見た一瞬のプレーはゆっくりに感じた。

 踏み切って、最高到達点で止まったか……と思ったところで全身がピンと真っ直ぐなり、さらに上に伸びた。しかし、球はグラブの数十センチ先を行き、レフト前に落ちる。着地しながら浮かべた悔しそうな表情。「届いてくれ」という想いがひしひしと伝わってくる全力プレーだった。

 試合後、金井は涙で肩を震わせた。「投手のために、意地でも捕らなきゃと思った」。先発・松本伊織(3年)がシード校相手に力投。毎日朝練に打ち込んできたエースを想って伸びた手だった。「捕れると思ったけど……あと一歩、届かなかった。悔しい。松本を勝たせてあげたかった」

 3年間、仲間の努力を近くで毎日見てきたからこその想い。一瞬のプレーに、誰かが誰かのために動くチームプレーの大切さを思い出すことができた。

(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)

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