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20歳で金メダル→スパッと引退 恋したカエルを求めて修士課程2年生に…今の目標は「絶対に博士号を」――ボクシング・入江聖奈

スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、大のスポーツファンも、4年に一度だけスポーツを観る人も、五輪をもっと楽しみ、もっと学べる“見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値が社会に根付き、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

修士課程2年生になった入江聖奈、今はカエルの研究に没頭している【写真:松橋晶子】
修士課程2年生になった入江聖奈、今はカエルの研究に没頭している【写真:松橋晶子】

「シン・オリンピックのミカタ」#84 連載「あのオリンピック選手は今」第5回

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、大のスポーツファンも、4年に一度だけスポーツを観る人も、五輪をもっと楽しみ、もっと学べる“見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値が社会に根付き、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

 今回は連載「あのオリンピック選手は今」第5回。五輪はこれまで数々の名場面を生んできた。日本人の記憶に今も深く刻まれるメダル獲得の瞬間や名言の主人公となったアスリートたちは、その後どのようなキャリアを歩んできたのか。

 一見つながっていないようで、つながっているボクシングとカエルの研究。2021年の東京オリンピック、ボクシング女子フェザー級で金メダルを獲得した入江聖奈は日本体育大学卒業後、東京農工大学大学院(農学府自然環境保全学プログラム)に進学してカエルの生態について学んでいる。東京オリンピックから3年、23歳となった彼女はどのような生活を送っているのか。(取材・文=二宮 寿朗)

 ◇ ◇ ◇

 7月某日、炎天下の東京農工大学府中キャンパスに入江聖奈は颯爽と自転車で現れた。

 修士課程の2年生となり、学業と研究の日々に明け暮れている。

 3年前のちょうどこのころ、彼女は東京オリンピックの表彰台のてっぺんに立っていた。金メダルと、ひまわりのブーケを手にして。「もう3年も経ったのかっていう思いはありますね。あっという間だな、と。ときの流れの速さを感じています。でも東京オリンピックで金メダルを獲ったときに、次のパリオリンピックのときはだいぶ自分の金メダルのこと忘れられているのかなと思っていたんですけど、ずっと私のところになんか意外とまとわりついてきて。これはちょっと想定外でしたね」

 まとわりつくというのは悪い意味ではない。それほど大きかった出来事だったことがうかがえる。次の目標に突き進んでいたら、最高の思い出をもっと懐かしく感じるかと思いきや、ずっと自分を離れないでいる。カエルをじっと眺めるように、どこか客観的に自分を観察しようとしているのが何とも彼女らしい。

 20歳で金メダルを獲った以上、誰もが次のパリも目指すと思っていた。ところが日体大卒業を機にボクシングから離れることを早々に公にする。小学2年生でボクシングを始めたきっかけになったボクシング漫画「がんばれ元気」の主人公、堀口元気が世界チャンピオンになって即引退したように。

「私の人格を形成する時期に『がんばれ元気』を読んでいるので、スパッとやめるっていうところは何か根づいちゃったところはあるのかもしれないですね。知らないうちに」

 これだと決めるとのめりこめるタイプ。大好きなカエルについて学びたいと思ってからは猛勉強して東京農工大学大学院に見事、合格した。

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二宮 寿朗

1972年生まれ、愛媛県出身。日本大学法学部卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2006年に退社後、「Number」編集部を経て独立した。サッカーをはじめ格闘技やボクシング、ラグビーなどを追い、インタビューでは取材対象者と信頼関係を築きながら内面に鋭く迫る。著書に『松田直樹を忘れない』(三栄書房)、『中村俊輔 サッカー覚書』(文藝春秋、共著)、『鉄人の思考法~1980年生まれ戦い続けるアスリート』(集英社)、『ベイスターズ再建録』(双葉社)などがある。

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