五輪がいつも「7月末~8月」はなぜ? 猛暑に苦しむ選手…わざわざスポーツに適さない季節にやる裏事情
スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。
「シン・オリンピックのミカタ」#1 連載「オリンピック・トリビア」
スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。
【注目】THE ANSWERの姉妹サイト、スポーツを楽しむすべての女性を応援するメディア「W-ANS ACADEMY(ワンス・アカデミー)」はこちら!
今回は連載「オリンピック・トリビア」。いろんなスポーツが行われる五輪を見ていると、それぞれの競技のルールやしきたりなど「よくよく考えると、これってなんで?」と不思議に思うことがないだろうか。スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和とスポーツを40年追い続けたスペシャリスト・荻島弘一氏が、そんな今さら聞けない素朴なギモンに回答。オリンピック観戦を楽しむトリビアを提供する。第1回は「どうしてオリンピックはいつも7月末から8月にやるの?」。
◇ ◇ ◇
Q.どうして、オリンピックは暑さの厳しい7月末から8月にやるの?
A.たくさんの人に見てもらいたいから。
【解説】
パリ大会が26日に開幕します。3年前の東京大会開幕日は23日。猛暑が選手たちを苦しめました。パリは東京ほどではないとはいえ、最も暑さが厳しい時期だけに選手への影響が心配されます。選手村にエアコンが設置されていないことも、話題になりました。
「もっと、涼しい時にやればいいのに」という声もあります。前回東京で開催された64年大会は10月10日開幕。同じように秋に開催すれば、選手のパフォーマンスも上がるし、関係者や観客も含めて熱中症などの心配もなくなります。ただ、IOCは7月下旬から8月の開催を徹底。92年バルセロナ大会以降は、2000年シドニー大会(9月開催)を除いて、すべて7~8月でした。
IOCがこの時期にこだわるのは「他のスポーツがないから」です。米国でこの時期に行われているのは、野球のMLBくらい。アメリカンフットボールのNFLは9月開幕、バスケットボールのNBAは10月開幕です。欧州のサッカーシーズンも基本的に秋から翌年の春まで。オリンピックの年には代表チームによる欧州選手権がありますが、これも7月の前半には終わります。
競合する人気スポーツが少なければ「多くの人に見てもらえる」ためオリンピックの価値が上がります。テレビの視聴者も増えるために高額の放送権料も見込めます。IOCが莫大な収入を得るためにも、競合するスポーツがない時期にやる必要があるのです。
もっとも、他のスポーツが夏にやらないのは「スポーツに適さない」季節だから。地球温暖化の影響もあって、選手への負担は増すばかりです。大会の価値を高め、収入を得るためとはいえ、わざわざ「スポーツに適さない」季節に行うのがオリンピックなのです。
(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)