「我々の強みは色々な人種がいること」 黒人初の南ア主将が届けたい3度目の感動
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は、いよいよ2日に決勝を迎える。世界ランキング1位のイングランドと同2位の南アフリカが激突する頂上決戦。2007年以来3度目の優勝目指す南アフリカは1日、東京都内で前日会見に臨み、決勝の舞台で代表50キャップ目となる主将FLシヤ・コリシは「大事なことはチームに貢献すること。それ以外は二の次」と話し、試合に全力を尽くすことを誓った。
得点王を射程圏のSOポラード「W杯決勝でキックを蹴る姿をイメージしながら…」
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は、いよいよ2日に決勝を迎える。世界ランキング1位のイングランドと同2位の南アフリカが激突する頂上決戦。2007年以来3度目の優勝目指す南アフリカは1日、東京都内で前日会見に臨み、決勝の舞台で代表50キャップ目となる主将FLシヤ・コリシは「大事なことはチームに貢献すること。それ以外は二の次」と話し、試合に全力を尽くすことを誓った。
南アフリカは1991年にアパルトヘイト関連法が廃止されるまで、長らく人種隔離政策が行われていた。そのため、ラグビーの代表チームにも黒人選手が選手されるようになってから日が浅く、マンデラ氏が黒人初の大統領に就任した翌年、1995年に初めて黒人選手が加わったチームで飾ったW杯優勝は、国が統一された象徴的な出来事として記憶に刻まれている。
1891年から続く南アフリカ代表史上、黒人として初めて主将となったコリシは、当時の様子は「ビデオで見たことがある」と話す。実際に自身が「国が一つにまとまった」と体感したのは、2度目の優勝を飾った2007年。当時16歳だったコリシは「W杯優勝が国に大きな変化をもたらした。僕自身も、その興奮を見て以来、代表でプレーしたいと思う気持ちが強くなった」と強い感銘を受けた。
それから12年。今度はコリシ自身が母国を一つにまとめる感動を届けるチャンスがある。
「大統領もジャージを着て、決勝戦をテレビ観戦しようと、国民に呼びかけてくれた。優勝が南アフリカにもたらす意味は大きい。我々の強みはいろいろな人種がいること。チームとして団結すれば大きなことを達成できると世界に見せたい。明日、優勝トロフィーを獲得できたら、南アフリカはどれだけ大騒ぎになることか」
コリシが噛みしめるように紡いだ言葉を、大きく頷きながら聞いていたのが、記者会見に同席したSOハンドレ・ポラードだ。決戦の前に感じるプレッシャーを「大好き」と言い切るプレースキッカーは、ここまで通算47得点を記録し、決勝で5点以上稼げば、得点ランクで田村優を上回ってトップに立つ。決勝では「どこでもゴールを狙うわけではない。自信がなければFWに任せることもある」とあくまで慎重な姿勢だが、「W杯決勝でキックを蹴る姿をイメージしながら、子供の頃から練習してきた。この瞬間を噛みしめて、全エネルギーを注ぎたい。本当に楽しみ」と笑顔を浮かべた。
泣いても笑っても、あと1試合。80分間、持てる力を全て出し切り、母国に勝利をもたらす。
(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)