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残り4分まで同点の準決勝の勝敗分けた鍵 箕内拓郎「南アは常にエリアを意識していた」

元日本代表の箕内拓郎氏【写真:編集部】
元日本代表の箕内拓郎氏【写真:編集部】

展開が読めるアタックの多い南アフリカが唯一、リズムを変えた場面とは

 南アフリカはお互いのディフェンスがいい中で、セットプレーで完全に崩すにはまでには至らず、なかなか糸口が見つからない状況になっていました。後半運動量が落ちてきて苦しそうな場面でリザーブの選手がセットプレー、ディフェンスで活躍したことで最終的に試合を決めましたが、どこでプレーするべきか、常にエリアを意識していたと思います。相手陣内に入り込むことを意識していたことが、最後に勝負を決めるPGにもつながったと言えるでしょう。

 今のラグビーは、どんどんディフェンスが進化しています。それに対して、どんなアタックを仕掛けるか。そこでキックを蹴る位置、キックの処理というのは鍵になります。南アフリカは流れが停滞しそうになったところで、SHデクラークがキックを蹴って、コンテストボールを再獲得できた部分もありました。ただ、この試合でデクラークのボックスキックは安定せず、効果的な使い方はできませんでした。ウェールズのFBハーフペニーはキック処理がうまく、空中戦を得意とする影響もありますが、デクラークは決勝戦の前にキックを少し修正する必要はありそうです。イングランドはFWが前に出てプレッシャーをかけてきます。また、バックスリーも空中戦を得意とするメンバーが揃っているので、簡単にはいかないでしょう。

 南アフリカは敵陣でボールを動かしていましたが、展開が読めるアタックが多いので、ウェールズはディフェンスしやすかったと思います。唯一、南アフリカの攻撃のリズムが変わったのが、トライを取った場面でした。あのトライは、最後はCTBデアレンデが個人技で持っていきましたが、きっかけとなったのはSOポラードが縦に走り込んだことにあります。いつもの南アフリカのリズムであれば、FWが来るだろう、という場面で、ポラードはなりふり構わずにゲインラインを突破しようと突っ込んできた。ウェールズのディフェンスが一瞬崩れたところで、デアレンデのトライにつながったというわけです。あれはポラードが臨機応変に対応したのか、そういう選択でいこうという話になっていたのか、いずれにしても相手の隙を突く好プレーになりました。

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