「この顔が物語っている…」 落胆のウェールズ主将が消え入りそうな声で呟いた理由
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は27日、横浜国際総合競技場で準決勝の第2試合を行い、世界ランク3位のウェールズと同4位の南アフリカが激突。決勝初進出を目指したウェールズは16-19と惜敗した。残り4分までは同点の展開も、1つのペナルティーゴール(PG)が命運を分けた。試合後、ヘッドコーチ(HC)とともに記者会見場に姿を現したウェールズ主将ジョーンズは、魂が抜けてしまったかのように、うつろな目で宙を見つめるしかなかった。
直近テストマッチでは4連勝と手応え掴むが本番で生かせず
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は27日、横浜国際総合競技場で準決勝の第2試合を行い、世界ランク3位のウェールズと同4位の南アフリカが激突。決勝初進出を目指したウェールズは16-19と惜敗した。残り4分までは同点の展開も、1つのペナルティーゴール(PG)が命運を分けた。試合後、ヘッドコーチ(HC)とともに記者会見場に姿を現したウェールズ主将ジョーンズは、魂が抜けてしまったかのように、うつろな目で宙を見つめるしかなかった。
消耗戦だった。ともにキックを主体としたゲーム展開となったこの日。前半から互いに一歩も譲らぬシーソーゲームとなった。派手さこそないが、互いに自陣22メートル内にはなかなか踏み込ませず。前半を終えて6-9と3点を追うウェールズは、後半開始まもなく同点に追いついた。トライを許して7点差をつけられても、敵陣ゴール前で執拗なラック攻撃を続けてペナルティーを得て、迷わずスクラムを選択。WTBアダムスが今大会最多となる6個目のトライを左隅に決めると、コンバージョンも決まって再び同点となった。結局、残り4分でPGを決められて試合終了。ジョーンズ主将は「接戦になればなるほど消耗戦になる。それでも、最後の最後まで諦めなかった。チェスのような試合展開で、我々がわずかに及ばなかった」と、今にも泣き出しそうな声で語った。
この日がW杯では3度目の対戦。最近4度のテストマッチでは、南アフリカを相手に4連勝中だった。ウェールズにとっては初の決勝進出がかかり、もし勝ち進めばイングランドとの北半球決戦。テストマッチで確かな手応えを感じていたが、本番のW杯では3戦全敗という記録。しかも、わずか3点差だ。手の届く点差だっただけに、心にポッカリと穴が空いた虚無感に襲われたのかもしれない。記者会見で「今の心境は?」と問われると、ジョーンズ主将は呆然とした意識をかき集めながら、消え入りそうな声で「この顔が物語っているだろう。傷ついたし、ガッカリした」と答えるのが精一杯だった。
隣に座るガットランドHCは「選手は本当によくやってくれた。決して太刀打ちできなかったわけじゃない」と選手の努力を称えたが、ジョーンズ主将の表情は変わらず。「まだ少しは歴史を変えるチャンスはある」という言葉が空しく響いた。
(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)