なぜNZは動じないのか 「観客をコントロールできる」“王者の哲学”とは
アイルランドとの差はどこに…「勝たなければ学べない経験がある」
圧巻のスピード、ド迫力のタックル――。オールブラックスの強く美しいラグビーに、いつしかスタンドのファンは魅了されていき、アイルランドファンの声援もトーンダウンしていく。こうしたことは勝利を重ねてきた王者にとっては何度も繰り返してきた光景。決して特別なことではないのだ。
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アイルランドは2016年にオールブラックスに勝利。そして昨年も地元ダブリンで破っている。ニュージーランドから見れば、過去3年で2度敗れているのだ。だが、W杯の舞台ではアイルランドの良さを出させず、完勝して見せた。ハンセンHCは自信たっぷりにこう振り返っている。
「体験は不思議な事。厳しい時でもしっかりプレーできる選手を選んだ。相手を軽く見る必要は全くない。私たちは日常的に勝っている経験がある。勝たなければ学べない経験がある。どれだけ学べる経験をしているのかが大事なんだと」
勝ち続けることで得た経験がある。哲学がある。それは代えがたいものだと。アイルランドとは、まだまだ経験の差があると、強烈なプライドを滲ませた。
オールブラックスに勝てるとするならば――。そんな期待の声に後押しされて土俵に上がったアイルランドだったが、叩きのめされた。試合後、ジョー・シュミット・ヘッドコーチ(HC)は「言い訳はありません、理由も想い浮かばない」と肩を落とすしかなかった。一体どこが黒の軍団を止めるのか。2011年大会から続く、W杯での連勝は18(台風による中止=引き分けを挟み)に伸びた。
(THE ANSWER編集部・角野 敬介 / Keisuke Sumino)