なぜ、最後に蹴り出した? アイルランドHCが明かした理由、日本の脅威に屈した決断
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は28日、A組で世界ランク9位の日本が同2位のアイルランドを19-12で破る大金星を挙げた。最後は負けているアイルランドがラストワンプレーで自ら蹴り出し、試合を終えた。その背景に世界2位の強豪が感じていた日本の脅威があった。
負けているアイルランドがラストワンプレーで蹴り出して試合終了
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は28日、A組で世界ランク9位の日本が同2位のアイルランドを19-12で破る大金星を挙げた。最後は負けているアイルランドがラストワンプレーで自ら蹴り出し、試合を終えた。その背景に世界2位の強豪が感じていた日本の脅威があった。
日本は最後まで攻め続けた。19-12となってリードし、足が止まったアイルランドに猛攻を仕掛ける。終了間際、敵陣深くで攻撃が展開され、後半40分でラストワンプレーの合図が鳴っても、アイルランドが耐えしのぐ展開が続く。しかし、ここで日本の攻撃にほころびが生まれ、ボールを落とした。
拾ったのはアイルランド側。ここから仕掛け、トライとゴールを決めれば、19-19の同点に追いつく点差だった。しかし、攻めることなく、タッチに蹴り出し、試合終了となった。歓喜に沸き立つ日本のフィフティーン。会場に熱狂の瞬間が訪れたが、なぜ攻めることなく、試合終了させることを選んだのか。
試合後、海外メディアからの指摘にアイルランドのジョー・シュミッドヘッドコーチ(HC)は理由を明かした。
「ボーナスポイントは非常に重要だったかもしれない。(現在は)2試合で勝ち点6で私たちはグループ上位にならないといけない。(1試合で勝ち点5の)サモアより短期的に上位になるためにはボーナスポイントも重要になる。今後はロシア、サモアとも戦い、厳しい試合になる。上位になるためにはしっかりと追いかけていかないといけない」
狙ったのは勝ち点「2」ではなく、7点差以内の負けに与えられる勝ち点「1」。その言葉は裏返せば、これ以上攻めれば、圧倒されている日本にトライを奪われ、「1」が「0」に減るリスクを感じていたということになる。結果、最後は負けているアイルランドが自ら終わらせる選択で笛を鳴らせた。それは、日本の強さを認めているが故の選択だった。
会見でシュミッドHCはこうも言った。その口ぶりはリップサービスには聞こえなかった。
「厳しく強いチームと思っていて、その通りだった。クオリティが高い選手がいて、抑え込むのが難しい。今日は日本を祝福したいと思う。日本は私が予想した通りのプレーをしていた」
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)