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英国から開幕戦ホイッスルを“配達” 東京まで2万キロを自転車で走破した2人の冒険

ラグビーワールドカップ2019日本大会が20日、いよいよ開幕する。記念すべき開幕戦は日本対ロシア。午後7時45分、東京スタジアムでキックオフを告げるホイッスルは、この日のためにラグビーの聖地・イングランドのトゥイッケナム・スタジアムから運ばれたものだ。ただし、飛行機でファーストクラスの扱いを受けながら、日本にたどり着いたわけではない。

ロンドン近郊から東京まで231日にわたる自転車の旅を遂行したジェームズ・オーエンズさん(左端)とロン・ラトランドさん(右端)【写真:Getty Images】
ロンドン近郊から東京まで231日にわたる自転車の旅を遂行したジェームズ・オーエンズさん(左端)とロン・ラトランドさん(右端)【写真:Getty Images】

南ア出身ラトランドさんと香港出身オーウェンズさんが27か国を231日かけて配達

 ラグビーワールドカップ2019日本大会が20日、いよいよ開幕する。記念すべき開幕戦は日本対ロシア。午後7時45分、東京スタジアムでキックオフを告げるホイッスルは、この日のためにラグビーの聖地・イングランドのトゥイッケナム・スタジアムから運ばれたものだ。ただし、飛行機でファーストクラスの扱いを受けながら、日本にたどり着いたわけではない。このプロジェクトのために出会った2人の男性が自転車に乗り、27か国、約2万キロの道のりを繋いで、様々な想いを乗せて配達した。

 ロンドン近郊から東京まで231日にわたる自転車の旅を遂行したのは、南アフリカ出身の冒険家、ロン・ラトランドさんと香港出身のNGO職員、ジェームズ・オーウェンズさん。臀部の手術をしたラトランドさんの主治医がオーウェンズさんの父だったという縁で出会った2人だが、2月にトゥイッケナム・スタジアムを出発する前は、ほんの数日しか顔を合わせたことがない、ほぼ赤の他人だったという。

 2人は開幕戦用のホイッスルを積み、ヨーロッパを駆け抜け、ギリシャからトルコに渡り、インド、タイ、中国などを通過して日本に到着。この間、ワールドカップのオフィシャルスポンサーでもあるチャリティー団体「チャイルドファンド・パス・イット・バック」への寄付金を募った結果、約900万円にも上る支援を得られたという。

 開幕前日の19日、ゴールの東京スタジアムに自転車で乗り付けた2人は、2月にロンドンを出発した時のこざっぱりとした風貌から一変、ヒゲを蓄えたワイルドな姿となっていたが、そこに漂うのは大いなる充実感とかけがえのない達成感だった。

 ホイッスルは4年前の前回大会決勝でレフェリーを務め、今大会の開幕戦でもレフェリーを務めるナイジェル・オーウェンズさんの元に無事、配達完了。大きな拍手で迎えられたラトランドさんは「今、ここにいられることが本当に信じられない想い。たくさんの方々のサポートのおかげで、無事ホイッスルを届けられました」とホッとした笑顔を浮かべると、相棒のオーウェンズさんも「私たちにとって、単なる旅以上の経験になりました。明日からの6週間、日本でワールドカップを楽しみたいです」と語った。

 ホイッスルを運んだ2人だけではなく、その道のりで出会った人々、そして2人をサポートした人々ら、数多くの人々の想いが込められたホイッスルは今夜、東京の夜空に鳴り響く。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)


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