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サプライズなし 代表メンバー選考に見る指揮官の自信「選んだ選手の共通点は…」

2015年の前回大会経験者は10人だけ

 長期間の強化の成果が試された7、8月パシフィック・ネーションズ・カップ(PNC)では、開幕戦で7シーズン勝ち星がなかった難敵フィジーに34-21と快勝。開始3分のSO田村優のショートパントにWTB福岡が素早く反応して奪ったトライに象徴されるように、チャンスを掴んだ瞬間に多くの選手が素早く反応して、チームが組織として機能してトライに結び付けた。

 2015年大会では南アフリカから金星を奪うなど3勝をマークした日本代表。だが、今回のメンバーは21人がワールドカップ初選出だ。つまり前回の躍進を支えたメンバーは10人に過ぎない。この4年間で引退した選手もいるが、ジェイミー・ジャパンの戦術を理解し、前回大会以上にスピードとフィットネスを求められる中で、FL/NO8姫野和樹のような若い原石も磨かれた。

 ジョセフHCは「(15年大会後の)4年間で、すべてのティア1国とテストマッチを組み、スーパーラグビーにも参戦できた。そして、メンタル面の強化にも取り組めた。これは、選手、コーチとしっかり意思統一をはかり連携することでチームカルチャーを作ること。そして選手はいま積極性を持ち、チャレンジさえも楽しめるようになった」と、エディー・ジョーンズHCのもと日本と世界を熱狂させた15年大会のチームからの進化に手応えを掴んでいる。

 ターゲットに据えるベスト8進出には、アイルランド、スコットランドという強豪から最低でも1勝がノルマになる。勝つのが容易ではないことは指揮官自身、十分に理解している。「かなり難しいチャレンジになると思うが、スタッフ、選手が150%の力を出し切って、そこへ向けて邁進していきたい。達成できるかどうかは、そのときになればわかると思います」。厳しい表情で語るジョセフHCだが、その言葉には新たな歴史の扉を開く期待と自信がみなぎっていた。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)


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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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