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“ワンチーム”でジョセフHCに届けた吉報 トンガ戦の裏側にあった「16人目」の献身

パシフィック・ネーションズ・カップ(PNC)第2戦で、日本代表はトンガ代表に41-7と快勝。フィジー代表戦に続き開幕2連勝を飾った。試合後のセレモニーに立ったFLリーチ・マイケル主将(東芝)の両腕には、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)と母マウデさんのツーショット写真が抱えられていた。

トンガ戦はジョセフHCが不在もチームが一丸となり勝利【写真:Getty Images】
トンガ戦はジョセフHCが不在もチームが一丸となり勝利【写真:Getty Images】

指揮官不在の中での勝利、リーチ主将「監督がいなくても勝てるのが理想」

 パシフィック・ネーションズ・カップ(PNC)第2戦で、日本代表はトンガ代表に41-7と快勝。フィジー代表戦に続き開幕2連勝を飾った。試合後のセレモニーに立ったFLリーチ・マイケル主将(東芝)の両腕には、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)と母マウデさんのツーショット写真が抱えられていた。

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 試合前日の深夜にHCの母が急逝したことが分かり、選手が試合会場の東大阪・花園ラグビー場入りした3日午後に、指揮官は急遽ニュージーランドへの帰国の途についた。

 トニー・ブラウン・アタックコーチがHC代行に就き、モデルチェンジ後初めて着用した紺色のセカンドジャージーの袖には、喪章代わりの黒いテープが巻かれていた。平常心が揺らいでも不思議ではない事態。だが桜の戦士たちは、動じることなく準備してきたラグビーを80分間遂行して、鮮やかな勝利を浪速のファンに届けた。

 試合後の会見に臨んだリーチ主将は「このチームのスローガンは“ワンチーム”。監督がいなくても勝てるのが理想です」と静かに語った。

 ジョセフHCはチームに残り、采配することを希望したが、リーチをはじめチームが一時帰国を勧め、指揮官不在での戦いを迎えた。キックオフ直後に攻め込まれたが、リーチ主将が語るように選手は一丸となっていた。

 個々のパワーを生かした突進力で勝負してきたトンガに、2人の選手が相手のひざ下と上半身にスマッシュするダブルタックルで応戦すると、前半10分にラインアウトからモールを押し込みNO8アナマキ・レレイ・マフィ(NTTコミュニケーションズ)、20分にはラックの連続攻撃から最後はPRヴァル・アサエリ愛(パナソニック)がトライ。母国を相手に闘志をみせるトンガ出身選手の姿に、チームもさらに一体感を高めた。

 ジェイミー・ジャパンが動き始めた16年から掲げる“ワンチーム”は、グラウンドに立つ15人だけではない。試合途中から日本の攻撃をスローダウンするためにトンガがブレークダウンへの重圧を高めてきた。後半に入ると30分過ぎまで2PGしか奪えない展開。その苦境を救ったのは、メンバー外の布巻峻介(パナソニック)だった。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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