ダルビッシュ有が今夏の“主役” メジャーの大型トレードはなぜ起こる?
昨季はヤンキースが「売り手」に、チャップマンはカブス移籍でWS制覇貢献
買い手側となる球団は自分たちの弱点を補えるような選手や起爆剤となるような選手を物色。一方、売り手側は主力選手を放出する代わりに次年度以降のチームの立て直しのピースとなるような若手の有望株を狙う。ここで「トレード」が成立する。
たとえば、昨季は低迷したヤンキースが売り手となり、クローザーのアロルディス・チャップマンをカブス、セットアッパーのアンドリュー・ミラーをインディアンス、強打者のカルロス・ベルトランをレンジャーズ、先発右腕のイバン・ノバをパイレーツにそれぞれトレードで放出。代わりに有望な若手を獲得し、チームの再建を進めた。一方、チャップマンを補強したカブスはこの剛腕守護神の活躍もあり、108年ぶりのワールドシリーズ制覇を達成。ちなみにチャップマンは直後、カブスをFAとなり、再びヤンキースと契約している。
そのメジャー風物詩のトレードにおいて、今夏の目玉の一つとして注目されているのがダルビッシュだ。
今季限りで契約が切れる右腕については当初、レンジャーズがシーズン中の大型契約を結び直す可能性も指摘されていたが、同球団は資金面で潤沢とはいえず、ここまで再契約に至っていない。一方、成績を見ると現在、49勝51敗でア・リーグ西地区3位。首位アストロズとゲーム差「18」も離されており、プレーオフに進出するためには地区2位以下で争うワイルドカード(上位2チームがプレーオフ進出)を狙うしかない状況だ。ワイルドカード圏内のロイヤルズとはゲーム差3.5。プレーオフを諦めないのであれば、ダルビッシュの放出はないだろうが、残る数日の成績でプレーオフがさらに遠のけば、右腕を放出して若手有望株を獲得するという可能性もゼロではないだろう。