「映像より2~3倍強い」 真吾トレーナーが見抜いていた“危機”…井上尚弥、逆境で輝いた強さ
ボクシングの世界スーパーバンタム級(122ポンド、55.34キロ以下)4団体統一王者・井上尚弥(大橋)が27日に、サウジアラビアの首都リヤドで、WBC世界同級2位アラン・ピカソ(メキシコ)との防衛戦に臨む。2013年以来、12年ぶりとなる年間4試合目。試合を盛り上げるべく、今年の試合を振り返る。2試合目は5月のラモン・カルデナス戦。8回TKO勝ちした試合では、まさかのダウンを喫するも、改めてその強さが浮き彫りになった。

27日にピカソと対戦
ボクシングの世界スーパーバンタム級(122ポンド、55.34キロ以下)4団体統一王者・井上尚弥(大橋)が27日に、サウジアラビアの首都リヤドで、WBC世界同級2位アラン・ピカソ(メキシコ)との防衛戦に臨む。2013年以来、12年ぶりとなる年間4試合目。試合を盛り上げるべく、今年の試合を振り返る。2試合目は5月のラモン・カルデナス戦。8回TKO勝ちした試合では、まさかのダウンを喫するも、改めてその強さが浮き彫りになった。
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5月4日(日本時間5日)、米ネバダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで行われた一戦。初回から高速ジャブを差し、ガードの高いカルデナスを攻めた。2回は反撃に出る挑戦者のパンチを的確にブロック。しかし、右ストレートを受けて鼻血。終盤には打ち終わりにカウンターの左フックを受け、まさかのダウンを奪われた。昨年5月のルイス・ネリ戦以来、試合ではアマチュア時代を含めて人生2度目のダウン。両膝をつき、会場は騒然とした。
しかし、次第に井上ペースに。7回は開始から仕留めにかかり、左右のボディーでぐらつかせた。反撃を受けつつ、右ショートから連打。コーナーで右ショート4連発を浴びせ、ダウンを奪ってみせた。8回にフラフラの相手を攻め立て、たまらずレフェリーが止めた。
リングコメントでは「皆さん、今日の試合を見てもらえれば僕が殴り合いが好きだということは証明できたと思います」とコメント。日本で配信した中継局のインタビューには、「2ラウンド目のダウンも映像を見られていないので、ちょっとなんとも言えないですけど、この大きな会場は僕には合わないのかなと思いました(笑)」。東京ドーム開催だったネリ戦に続くダウンに自虐を込め、放送席を笑わせ、「映像で見ていたカルデナスより2~3倍は強く感じた」と相手を称えていた。
一方で、健闘したカルデナスは、試合後の会見で「彼は間違いなくパウンド・フォー・パウンドNo.1だ」と井上を絶賛しながらも、「パワー面で言えば今まで対戦してきた選手でもっと優れた選手がいた。6、7発の連打で圧倒されたんだ」と集中打に脱帽していた。
この試合では、井上陣営の分析力も話題に。ダウンが生まれる前、1回終了後のコーナーで、父でトレーナーの真吾氏は尚弥に対し「右のカバー深めに。右のカバー深めにな」と強調。Prime Videoで解説を務めたロンドン五輪金メダリストで元WBA世界ミドル級スーパー王者・村田諒太氏は「左のフックを気を付けろということでしょうね」と語っていた。真吾氏が恐れていた通り、左フックを被弾してしまった尚弥。村田氏は「真吾トレーナーが言っていた右のガード。左フック」「その通りの展開になりましたね」と指摘していた。
それでも冷静さを失わなかった尚弥。米国で試合を中継したスポーツ専門局「ESPN」の放送では、ダウンを奪われた直後にコーナーに戻ったシーンの会話がマイクに拾われていた。父でトレーナーの真吾氏から「大丈夫?」と声がかかると、落ち着いた様子で「今、2(ラウンド)だよね?」と確認。試合後の会見ではダウン後について「まずは落ち着いてポイントをピックアップしていくことを考えた」と語っており、冷静に巻き返しへの筋道を立てていたようだった。
逆境で強さを発揮した「モンスター」。米国でもファンを魅了していた。
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井上は12月27日に前日計量に臨み、55.11キロでクリア。ピカソも54.93キロでパスした。井上はピカソに勝利すれば元世界ヘビー級王者ジョー・ルイス、元5階級制覇王者のフロイド・メイウェザー(ともに米国)を抜き、歴代単独トップの世界戦27連勝となる。戦績は32歳の井上が31勝(27KO)、25歳のピカソが32勝(17KO)1分。興行はNTTドコモの動画配信サービス「Lemino」で国内独占生配信される。
(THE ANSWER編集部)
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