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あの長州力以来の快挙達成! 周囲の「無理」を覆し…“レスリング界の二刀流”成国大志の反発心

グレコとフリーの金メダルを手に笑顔の成国大志【写真:編集部】
グレコとフリーの金メダルを手に笑顔の成国大志【写真:編集部】

フリースタイルとグレコローマン…二刀流の難しさ

 常識外れの「二刀流」に、周囲の目は厳しかった。「中途半端になる」「無理に決まっている」「どちらかに専念しろ」。そういう声に「違和感を持った」という。「両方できることを証明したかった。見返したかった」。そんな反発心が、成国のパワーの源になった。

 成国の挑戦に刺激を受けたのか、ここ数年は両スタイルの両立を模索する選手も出てきた。昨年は田南部魁聖がフリーで優勝、グレコで準優勝し、長州力以来の2冠に肉薄した。「最近では、自分が初めて(二刀流を)やったという自負がある」という成国だけに、52年ぶりは自分で達成したかった。

 昨年準優勝だったグレコ63キロ級で優勝した田南部はこの日、本職のフリー65キロ級に出場。準々決勝で脳震とうを起こした影響もあって準決勝終了間際に逆転負けし、両スタイルVを逃した。「後に続く選手が出てきたのはうれしい」という成国は「元祖二刀流」としての意地で52年ぶりの快挙。「チャンスは今回しかなかったかも。達成できてうれしい」と話した。

 目標はブレずに「両スタイルでの世界チャンピオン」。3年後にはロサンゼルス五輪が控えるが「優先順位は世界選手権のグレコで優勝すること」。グレコ72キロ級は非五輪階級だが「五輪階級はレベルが高い。そこまでの実力はないので」と。世界王者を目指して現実的な選択を説明した。

 欧州で盛んなグレコ(ギリシャ)ローマン(ローマ式)は下半身の攻防が禁じられ、パワーが重視される。英国で発祥し米国で発展したフリースタイルはタックルを中心としたスピードが求められる。「スタイルはまったく違うし、使う筋肉も違ってくる。ただ、自分は普段の練習から両方こなしているので問題ありません」と成国。「五輪金メダル」を目標にする選手が多い中、その視線は「両スタイルでの世界王者」をしっかりと捉えている。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)



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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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