WBA世界バンタム級団体内王座統一戦

　ボクシングのWBA世界バンタム級団体内王座統一戦12回戦が17日、東京・両国国技館で行われた。43歳の暫定王者ノニト・ドネア（フィリピン）は、正規王者・堤聖也（角海老宝石）に1-2（116-112、111-117、113-115）の判定負け。4回に相手をダウン寸前まで追い込むも、フルラウンドの死闘をものにできなかった。会見ではドネアの妻で、トレーナー兼マネージャーのレイチェルさんが審判に苦言を呈する場面もあった。戦績は29歳の堤が13勝（8KO）3分、43歳のドネアが43勝（28KO）9敗。

　パンチ力は健在だった。4回終盤、ドネアは堤の顔面をとらえた。アッパーがまともに決まり、大きくぐらつかせるも、ダウン寸前でラウンド終了のゴングが鳴った。堤はここから逆転。6回以降、幾度となく猛攻を仕掛け、12ラウンドを譲らず戦い抜いた。判定にもつれる死闘も、ドネアが敗れた。

　ドネアは世界5階級制覇王者のレジェンド。43歳だが、武器の左フックは健在だった。19年と22年に現世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥（大橋）と2度対戦し激闘を演じたが、ともに敗れている。今年6月、アンドレス・カンポス（チリ）との暫定王座決定戦で9回負傷判定勝ち。WBA世界バンタム級暫定王者に就いていた。

　ドネアは頭に包帯を巻いた状態で会見に登場。「自分たちは全てを出し切った。自分が勝ってもおかしくなかった。堤選手におめでとうと言いたい。自分のパフォーマンスについても誇りに思う」と語った。

　会見で勝敗を分けたものについて問われた際、レイチェルさんは発言しようとしたドネアを制するように「ジャッジがすべてだったと思う」とコメント。111-117の大差がつけられた採点には「堤選手はスポット、スポットでいいパンチを当てていたけれど、自分たちのほうが当たっていたし、確率もよかったはず」と指摘した。

「ジャッジ（審判）にはいつも感謝しているし、自分たちのスポーツを支えてもらっていると思うが、フェアに採点してもらえないのであれば、今日に関しては私たちにリスペクトが足りなかったと思う」

　こうも語ったレイチェルさん。ドネアは堤について「いいファイターで、タフガイだ」「そのタフさが勝因だと思う」と称賛。今後については「リラックスし、自分自身の人生を楽しむ時間も必要。心の底から楽しめる、リングで得られる高揚感、特別な気持ちを得たいからボクシングをやっている。家族や子どもたちと時間を過ごし、リングに戻りたい気持ちがあるなら戻りたいが、今はリラックスしたい」と語った。