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骨折でも貫録V 阿部詩、強行出場の理由「これがロス五輪なら…」 代表監督も舌を巻く25歳の進化【柔道・GS東京】

柔道の国際大会「グランドスラム東京」が6日、東京体育館で開幕し、女子52キロ級で阿部詩(25=パーク24)が2年ぶりに復活優勝を果たした。1か月前にろっ骨を骨折した阿部は巧みな試合運びで5回目の優勝。男子90キロ級で優勝した村尾三四郎(25=JESエレベーター)、女子63キロ級を制した嘉重春樺(25=ブイ・テクノロジー)とともに来年10月の世界選手権(バクー)代表を確実にした。

グランドスラム東京に出場した阿部詩【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
グランドスラム東京に出場した阿部詩【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

女子52キロ級で2年ぶりに復活優勝

 柔道の国際大会「グランドスラム東京」が6日、東京体育館で開幕し、女子52キロ級で阿部詩(25=パーク24)が2年ぶりに復活優勝を果たした。1か月前にろっ骨を骨折した阿部は巧みな試合運びで5回目の優勝。男子90キロ級で優勝した村尾三四郎(25=JESエレベーター)、女子63キロ級を制した嘉重春樺(25=ブイ・テクノロジー)とともに来年10月の世界選手権(バクー)代表を確実にした。

 痛みに耐えながら、阿部が圧倒的な強さを見せた。初戦、準決勝と危なげなく勝ち進み、決勝では11月の講道館杯で優勝した坪根菜々子(26=自衛隊)から有効のポイントを奪い優勢勝ち。拳を握りしめて笑顔を見せた後、ろっ骨を骨折していて万全の状態でなかったことを明かした。

 練習で左胸を痛めたのは10月末。痛みをおして練習を続けていたが、2週間半前に骨折が判明した。「すごく不安があって直前まで出るかどうか悩んでいた」と言いながらも「これがロサンゼルス五輪だったら、ケガをしていても畳に立たないといけないので」と強行出場を決意した。

「痛みがあるので相手の下になれないし、寝技はできなかった。立ち技だけで、やれるところまでやってみようという感じでした」。それでも、試合になれば強さを発揮。動きを制限しながらも攻守のバランスがとれた試合運びで頂点に立ち、全日本柔道連盟の内規によって6度目の優勝を目指す26年世界選手権代表の座も内定させた。

 女子日本代表の塚田真希監督も阿部の強さに舌を巻く。「本当に才能。今年は攻めばかりでなくディフェンスも強化してきていたが、その組み立てが素晴らしい。大会ごとに成長をやめない状況で、どこまで上がっていくんだろうという感じです」と、攻守にバランスのとれた柔道を絶賛した。

 パリ五輪で涙した阿部だが、今年は出場した全大会で14戦全勝。金メダル奪還を目指すロス五輪に向けて、さらに強さを増している。ケガをしながらも、東京のファンの前で手にした優勝。阿部は「一段と成長できた」と言って胸を張った。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)


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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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