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見送り身内10人→実現した夢の光景 涙のサッカー松元、手話ポーズで示した「強い覚悟」【東京デフリンピック】

「強い覚悟で臨みたい」。デフサッカー男子日本代表主将のGK松元卓巳(36)は、そう言って右拳を腹部にあて、左から右に引いた。15日に開幕する聴覚障がい者のオリンピック「東京デフリンピック」に出場するサッカー代表の壮行会が6日、都内で行われた。「覚悟」を表す手話ポーズの「切腹」。松元は「自分としては、本当にそういう気持ち。(腹を切るほどの)強い覚悟で臨みます」と話した。

壮行会であいさつするデフサッカー男子日本代表の松元卓巳主将(右)と齋藤登監督【写真:編集部】
壮行会であいさつするデフサッカー男子日本代表の松元卓巳主将(右)と齋藤登監督【写真:編集部】

15日に東京デフリンピック開幕

「強い覚悟で臨みたい」。デフサッカー男子日本代表主将のGK松元卓巳(36)は、そう言って右拳を腹部にあて、左から右に引いた。15日に開幕する聴覚障がい者のオリンピック「東京デフリンピック」に出場するサッカー代表の壮行会が6日、都内で行われた。「覚悟」を表す手話ポーズの「切腹」。松元は「自分としては、本当にそういう気持ち。(腹を切るほどの)強い覚悟で臨みます」と話した。

 日本代表19年目の松元にとって、夢に見た光景だった。壮行会の舞台は日本協会(JFA)のサッカー文化創造拠点「ブルーイング」。目の前にはカメラの放列、その後ろには多くの報道陣が並ぶ。4回目のデフリンピック出場を前に経験する初めての壮行会。「みなさんに感謝したい」と手話を交えながら話した。

「信じられないことが次々と起きている」と松元は話す。日本協会の支援を受けられるようになり、2年前にはヤタガラスのエンブレムが入ったA代表と同じユニホームになった。4月にはJFLクリアソン新宿との親善試合で初めて「聖地」国立競技場のピッチに立ち、この日は初の壮行会。多くの人からエールを贈られた後、合宿地の福島Jヴィレッジには代表のチームバスで向かった。

 今回が4回目のデフリンピック出場となる松元は「前回までは壮行会もなし。空港に直接集合し、見送りも10人ほどの身内だけだった」と話した。大会結果が知られることもほとんどない。東京五輪との併催でパラリンピックの認知度は飛躍的に高まったが、デフリンピックを知る人は少なかった。

 小学校の時にサッカーと出会い、補聴器をつけて聴者と一緒にプレーした松元。数多くの日本代表選手を輩出した強豪・鹿児島実高2年の時にデフサッカー日本代表に招集された。年代別日本代表に選ばれたチームメートには日本協会からヤタガラス入りのユニホームが支給されるが、デフ代表は自腹。小学校の土のグラウンドで練習し、大会や遠征での自己負担も大きかった。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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