全日本選手権予選会

　フィギュアスケートの全日本選手権（12月19日開幕、東京・国立代々木競技場）のアイスダンス予選会が2日、滋賀・木下カンセーアイスアリーナで行われた。女子で全日本連覇やグランプリ（GP）ファイナルを制した実績を持つ紀平梨花（トヨタ自動車）が、西山真瑚（オリエンタルバイオ）と組んだ“りかしん”は、フリーで77.13点をマークし、合計136.74点の3位。日本スケート連盟の基準を満たせず、26年ミラノ・コルティナ五輪への道は断たれた。優勝は合計159.21点の櫛田育良（木下アカデミー）、島田高志郎（木下グループ）組。

　結成1か月あまりの“りかしん”が懸命に舞った。紀平にとっては今大会がアイスダンスデビュー戦。水色の衣装に身を包み、「もののけ姫」を演じた。堂々とした滑りを披露し、最後は満面の笑み。西山とリンクの上で抱き合った。しかし、キスアンドクライでは早速反省会。演技後の取材では「練習でできていた演技ではない。悔しい思いが初めに来る」と率直に語った。

　自己評価は100点満点で「50点くらい」。9月29日に自身のSNSでアイスダンス挑戦を電撃発表し、これが公式戦デビューとなった紀平は「これがスタート。あとは上がりきりたい」と前を向いた。

　日本はアイスダンスの五輪個人枠はないが、出場が確実な団体戦でのアイスダンス出場は可能。日本スケート連盟は、今大会でRDとフリーの技術点の合計85点をクリアした最上位カップルを、12月上旬のゴールデンスピンに派遣する。

　五輪出場には、国際スケート連盟公認大会でも技術点合計85点が必要。日本代表の選考対象になるためにはゴールデンスピンがラストチャンスとなるが、“りかしん”の今大会の技術点はRDが33.77、フリーが51.23点で合計85点に届かず、26年ミラノ・コルティナ五輪出場の可能性は消滅した。

　RD後に「出られたことが奇跡だと思っている。これがスタートとして頑張っていって、成績がついてくれば嬉しい」と話していた紀平。ミラノへの道は断たれたが、「30年に向けてしっかり努力を重ねて素晴らしいものになればいい」と、フランスのアルプス地域で行われる30年五輪へ歩みを進める。