寺田明日香、現役ラストランで涙 国スポ5位で完全燃焼「人生の大きな宝物」福部&田中らハードル仲間がサプライズ登場で労い
第79回国民スポーツ大会(国スポ)の陸上競技は5日、滋賀・平和堂HATOスタジアムで第3日が行われ、成年女子100メートル障害に今季限りで選手としての第一線から退く35歳・寺田明日香(北海道・ジャパンクリエイト)が出場。午前中に13秒36(追い風0.6メートル)の予選組2着で突破し、第一線の競技者としてラストランとなる決勝は13秒53(向かい風0.4メートル)の5位。レース後は涙を流し、ハードル仲間からサプライズで労いを受けた。

国民スポーツ大会第3日
第79回国民スポーツ大会(国スポ)の陸上競技は5日、滋賀・平和堂HATOスタジアムで第3日が行われ、成年女子100メートル障害に今季限りで選手としての第一線から退く35歳・寺田明日香(北海道・ジャパンクリエイト)が出場。午前中に13秒36(追い風0.6メートル)の予選組2着で突破し、第一線の競技者としてラストランとなる決勝は13秒53(向かい風0.4メートル)の5位。レース後は涙を流し、ハードル仲間からサプライズで労いを受けた。
レース前にアナウンスされると大きな拍手と歓声を浴び、笑顔を見せた寺田。号砲から飛び出し、綺麗なハードリングで完走した。13秒53の5位で駆け抜け、レース後は涙。優勝した清山ちさとらと抱擁を交わし、感動的なシーンに。
そして、優勝していない選手としては異例の場内インタビューに応じ、想いを明かした。
「早い時期に一度引退して、結婚、出産、ラグビーなどいろいろ経て、陸上競技に戻って来た。陸上競技の皆さんが温かく迎えてくださったので、ここまでずるずると陸上競技を続けてしまいました(笑)。本当に一度諦めた夢である五輪とか、世界選手権に3回出ることができたりとか、こんなに素敵な100メートルハードルの仲間たちができたことに、人生において大きな宝物をいただいたと思います」
そう言って「本当に長い間、たくさんの応援ありがとうございました!」と感謝を述べると、大きな拍手を浴びた。
インタビューを終え、待っていたのは「人生の大きな宝物」と伝えたハードル仲間のサプライズ登場。今大会に出場していない現日本記録保持者・福部真子、田中佑美、さらに今大会は別種目に出場した中島ひとみらが駆け付け、寺田の顔入りTシャツを着て花束を渡した。
寺田は笑みと涙が入り混じった顔で記念撮影した。来季は「アディショナルタイム」として地元・北海道など小さな規模の大会には出場の意思はあるものの、第一線の競技者としては区切り。陸上教室なども行っていくという。
小学4年から競技を始め、全国高校総体3連覇、日本選手権3連覇など将来を期待されたが、2013年に怪我や摂食障害などで現役を一度引退。14年に結婚・出産を経て、16年夏に7人制ラグビーに挑戦した。陸上に復帰した19年に日本記録を樹立し、21年にも2度更新。同年東京五輪で日本人21年ぶりの準決勝進出し、「ママアスリート」として脚光を浴びながらこの種目を牽引した。
昨年のパリ五輪出場はならず。競技生活22年目となった今季。4月に「今シーズンを持って第一線を退くことを決意しました」と表明。「引退」という表現は使わず、「今後は大人から子どもの方と本気で走っていきたいので、引退という言葉は置いておきます」という寺田らしい言葉で明かした。大目標の東京世界陸上は出場権を逃し、国スポが第一線の競技者としてはラストの大会となった。
寺田のことを「師匠」と尊敬する福部、田中ら、100メートル障害には寺田の影響を受けた後輩たちが数多くいる。主要大会の決勝レース後には、トラックでお互いを称え合う友好的で独特な空気感があった。その中心にいつもいたのが寺田。立場は変わっても、これからも寺田らしく陸上界を照らしていく。

▼寺田場内インタビュー全文
――最後のレースを終えて。
「早い時期に一度引退して、結婚、出産、ラグビーなどいろいろ経て、陸上競技に戻って来た。陸上競技の皆さんが温かく迎えてくださったので、ここまでずるずると陸上競技を続けてしまいました(笑)。本当に一度諦めた夢である五輪とか、世界選手権に3回出ることができたりとか、こんなに素敵な100メートルハードルの仲間たちができたことに、人生において大きな宝物をいただいたと思います。本当に長い間、たくさんの応援ありがとうございました!」
――100メートル障害への想い。
「(陸上に)帰ってくる前は13秒00というのが長い間、日本記録になっていて。長時間、止まっていた時計の針を動かしたいなという思いで陸上競技に戻ったんですけれども、12秒台で走って、そうするとどんどん後輩たちがたくさん12秒台で走ってくれて。もちろんやっていることは大変だったんですが、13秒の壁を越えてきた選手たちが、凄くありがたいことに慕ってくださって、そのおかげでレベルアップがはかれたのかなと少しだけ思っているので。そういう時代に出口ができてすごくうれしいなと思います」
――今後のハードル界の選手へ。
「ずっとお局みたいな感じでいてしまったので(笑)。私がいなくなるので、楽しくですね、かつ厳しいところもあると思うんですけれど、楽しんで競技をして、自分の高みを目指してもらえるとうれしいです」
(THE ANSWER編集部)
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