東京世界陸上第7日

　陸上の世界選手権東京大会第7日が19日、国立競技場で行われ、男子400メートル障害決勝で、結果が二転三転する大ハプニングがあった。ライ・ベンジャミン（米国）が46秒52の1着でゴールしたものの、レース後に一度は失格に。その後に米国側の抗議が通って正式に金メダルが確定。一度は金に繰り上がったものの、銀に落ち着いたアリソン・ドスサントス（ブラジル）は「奇妙な気持ちだった」と明かした。

　最初からハイペースで突っ込んだベンジャミン。大きなリードを奪ってホームストレートに入った。最後のハードルに足を引っかけて倒してしまい失速したベンジャミンを、ドスサントスは追い上げたが、抜くことはできずに2位でフィニッシュした。

　ベンジャミンはレース後、一度は失格に。理由は「自分や他のレーンのハードルを移動させて他の競技者に影響を与えた・妨害した」というもので、ドスサントスが金メダルに繰り上がった。

　だが、ハプニングはこれだけにとどまらまない。米国側の抗議が認められ、失格は撤回。結局、ベンジャミンが金メダル、ドスサントスが銀メダルとなった。

　振り回されたドスサントスは、「うーん、奇妙な気持ちだったね。一瞬金メダルを取ったような気分だった」と複雑な胸中を明かしたが、結果は素直に受け入れている。

「ライが失格になったと伝えられたんだ。誰かが失格になったからといって、喜びたくはない。もちろん、金メダルをみんなで分かち合って喜びたいとは思うけど、そうじゃない」

　さらに「金メダルを取りたいなら、速く走らなきゃ。誰かが失格したからではなく、速く走って金メダルを取りたいんだ」と話していた。正真正銘のNo.1を――。ドスサントスが欲しいのは、自力で掴み取る金メダルだ。