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バトンパスから10歩で悲劇 メダル圏内→アンカー途中棄権、痙攣で倒れこんだ最速男のラストラン【追憶の世界陸上】

陸上の世界選手権東京大会は21日までの9日間、国立競技場で熱戦が繰り広げられている。今大会が20回目となる大舞台では、過去に記憶に残る様々なシーンがあった。1991年以来、34年ぶりに東京で開催されるこの機会に「追憶の世界陸上」として振り返る。2017年ロンドン大会、人類最速スプリンターが、まさかの形で現役生活に別れを告げた。

国立競技場では熱戦が繰り広げられている【写真:ロイター】
国立競技場では熱戦が繰り広げられている【写真:ロイター】

追憶の世界陸上・2017年ロンドン大会

 陸上の世界選手権東京大会は21日までの9日間、国立競技場で熱戦が繰り広げられている。今大会が20回目となる大舞台では、過去に記憶に残る様々なシーンがあった。1991年以来、34年ぶりに東京で開催されるこの機会に「追憶の世界陸上」として振り返る。2017年ロンドン大会、人類最速スプリンターが、まさかの形で現役生活に別れを告げた。

 五輪で8個、世界選手権で11個の金メダルを獲得したスーパースター、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が、現役ラストの舞台に選んだのが2017年ロンドン大会だった。

 前年のリオデジャネイロ五輪で100メートル、200メートル、4×100メートルリレーの3冠を達成したボルトだが、ロンドン大会ではそれほどの爆発力がなかった。100メートルは9秒95で銅メダル。ガトリン、コールマンの米国勢に敗れた。

 200メートルには出場せず、100メートルから1週間後の4×100メートルリレーにジャマイカのアンカーとして登場。予選を難なく通過すると、ラストランとなる決勝の舞台に立った。

 異変が起きたのは、3走のブレークからバトンを受け取ってから10歩あたり。顔をしかめ、突如減速した。左大腿裏の痙攣。ゴールにたどりつくことができず、トラックにうつぶせで倒れこんだ。3位でバトンを受け取ったが、まさかの途中棄権となった。

 レースから一夜明け、ボルトは会見に臨んだ。英紙「ガーディアン」は、「私はファンと大会にも別れを告げたんだ。自分が長年に渡り、支配してきた2つのイベントがあった。全てに別れを告げた。泣きそうになった。涙が出そうだったが、そうはならなかったんだ」とのコメントを伝えている。

 100メートル9秒58、200メートル19秒19は今なおレコードブックに君臨する世界記録。数々の衝撃を残してきた人類最速スプリンターは、ラストランも特大のインパクトだった。

(THE ANSWER編集部)

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