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“スポーツの町”で「ファンの奪い合いですね」 ブレイヴキングス刈谷が他競技から受ける刺激【ハンドボール・リーグH】

試合後、ファンをハイタッチで見送るブレイヴキングス刈谷の渡部仁(左)と岡本大亮【写真:荻島弘一】
試合後、ファンをハイタッチで見送るブレイヴキングス刈谷の渡部仁(左)と岡本大亮【写真:荻島弘一】

カギを握る「地域密着」

 将来的なプロ化を目指すリーグHでは「地域密着」が大きなカギとなる。トヨタ車体として日本リーグを戦ってきたチームも、リーグHに向けてチームの呼称を変更。「つい自分のチームを車体と言ってしまうけれど、刈谷と言うようにしています」と渡部は地域のことを思って話した。

 刈谷市はかつて「サッカーの町」と呼ばれた。豊田自動織機は古河電工や三菱重工とともに1965年発足の日本リーグ創設メンバー。愛知県立刈谷高校はサッカーの強豪で、白地に襷を模した赤い線のユニホーム「刈谷の赤ダスキ」はオールドファンに広く知られている。「赤ダスキ」を受け継ぐFC刈谷は、Jリーグを目指して東海リーグを戦っている。

 もっとも「サッカーの町」だけではない。刈谷市には驚くほど強豪スポーツチームが多い。バスケットボールBリーグのシーホース三河、Wリーグのデンソーアイリスとトヨタ紡織サンシャインラビッツ、バレーボールSVリーグ男子のジェイテクトSTINGSに女子のクインシーズ刈谷、ソフトボールの豊田自動織機シャイニングベガ。すべてが国内トップリーグ所属だ。人口15万人強の刈谷市は「スポーツの町」でもある。

 スポーツの強豪チームが育ったのは「トヨタ」の力。「トヨタ発祥の地」としても知られる刈谷市には、今もトヨタグループ主要13社のうち6社が本社を置く。ライバル意識もあって、各社がチームを強化。バブル崩壊で多くの企業チームが消滅する中、トヨタはチームを守ったから今の隆盛がある。

 ブレイヴキングスにとっては、同じトヨタ車体のクインシーズだけでなく、ウイングアリーナをホームとするシーホース、デンソーなどもライバル。渡部は「ファンの奪い合いですね」と笑いながらも「違うスポーツでも同じ刈谷で頑張っているチームがあるのは刺激になる。ハンドボールでも地域を盛り上げていきたい」と話した。

 日本リーグ時代から5年連続準優勝。プレーオフ決勝で敗れた相手は、いずれも同じトヨタグループの豊田合成ブルーファルコン名古屋だった。13日には、その最大のライバルとアウェーで対戦。吉野は「今日勝って、弾みがつきます」次戦を見据えて話した。新戦力の加入で強さを増した刈谷。「今年こそは優勝する」。刈谷市を盛り上げるために、渡部主将は6年ぶりのリーグ制覇を目指して言いきった。(荻島弘一)

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)


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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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