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「2分38秒の沈黙」が生んだ感動 イチロー最後の瞬間、米実況が添えた“粋な演出”

21日に行われた米大リーグのアスレチックス戦をもって引退することを発表したマリナーズのイチロー外野手。現役最終戦は8回の守備から退き、大歓声の中でチームメートがベンチ前で出迎え、一人一人と抱擁を交わしたシーンは大きな感動を呼んだ。試合を米国で中継したスポーツ専門局「ESPN」の実況は2分38秒に渡って沈黙する“粋な演出”を加えていた。

21日のアスレチックス戦でグラウンドを去るイチロー【写真:Getty Images】
21日のアスレチックス戦でグラウンドを去るイチロー【写真:Getty Images】

ESPN実況アナが「これが最後の時です」を最後に2分38秒に渡って沈黙する演出

 21日に行われた米大リーグのアスレチックス戦をもって引退することを発表したマリナーズのイチロー外野手。現役最終戦は8回の守備から退き、大歓声の中でチームメートがベンチ前で出迎え、一人一人と抱擁を交わしたシーンは大きな感動を呼んだ。試合を米国で中継したスポーツ専門局「ESPN」の実況は2分38秒に渡って沈黙する“粋な演出”を加えていた。

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 言葉なんか、要らなかった。8回、サービス監督がベンチから球審のもとに歩み寄ると、ライトを指さした。イチロー、交代――。この時、すでにこの試合限りで引退するとの報道が日米で流れていた。つまり、これが“最後の瞬間”になる。球場内にざわめきと歓声が交錯した。背番号51は悟ったように頷き、右翼席のファンに手を挙げて応えた。

 このシーン、ESPNの実況は「ちょっと待ってください。スコット・サービスが出てきました」と第一声。「マリナーズ選手が集まります。重大な瞬間となりそうです」と言い、イチローがベンチに向かって歩き始めると「これがメジャーのフィールドから去る、最後の時です」と覚悟したかのように言った。そして、これを最後に言葉が途切れた。

 イチローがベンチに戻り、一人一人と抱擁を交わす。その間も実況は一切の言葉を挟まない。球場内の声援だけが響き、時折イチローの声がマイクに拾われる。そして、涙の菊池雄星ら全選手との時間を終えると「一人ずつ……(抱擁)」と口を開くと「東京ドームすべてのファンと最後のサヨナラです」と情緒たっぷりに話し、情景を伝えていた。

 感動の瞬間に言葉は要らない。それを証明するかのように、粋な演出を施した。ESPNは公式ツイッターで「レジェンドへ最後のサヨナラ。イチローが東京の観衆に挨拶。最後のMLBゲームから去る」と題し、実際のシーンを動画付きで公開。ネット上では日本のファンの間でイチローに対する敬意が伝わる実況の振る舞いに反響の声も上がっていた。

 日米の野球界の歴史上に刻まれるレジェンドの“最後の瞬間”。そのシーンはイチローを愛する人すべてにとって、生涯忘れられない記憶として刻まれた。

(THE ANSWER編集部)

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