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「はい、勝って後悔です」 次戦の確約がない37歳ボクサー、元世界王者・尾川堅一が生き残る術

勝利のコールの瞬間の尾川【写真:澤田直人】
勝利のコールの瞬間の尾川【写真:澤田直人】

消化不良も「37歳でそんなこと言ってられない」

 救いがあるとすれば、試合前にWBOで3位に上がったばかりの世界ランク。WBCも13位とし、世界挑戦は徐々に近づいているはずだった。世界王座に返り咲けば、元世界3階級制覇王者・長谷川穂積氏の35歳9か月を超える国内最年長記録にもなる。

「やっぱりここでアピールしたかった。今まで何をやってきたんだろうという悔しさですよね。もうここ(試合)でしか見せる場所はない。いかに練習でやってきましたと言っても、ここで出せなかったらやってきていないのと一緒。

 相手あってのことなので、うまくいかないこともあると思う。37歳なのでそんなことも言ってられないけど、一気に変わることはないのでしっかりやりたいです」

 プロデビューから15年。長男は中学生になった。リングイン前、3人の息子とハイタッチ。「ここまで来たら家族のため。自分のためよりも、応援してくれるみんなのためにやりたい。反省してるって書いてください」。年を重ねても成長を求めること自体が、実は素晴らしい。生き残るには、またコツコツと積み上げるしかない。最後まで懸命に前を向き、拳を振る。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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